内容説明
豊臣秀吉が世を去り、五大老筆頭の徳川家康は、前田家を屈服させるなど、天下取りの野望を露わにし始める。そして次の標的を上杉に定めた。そんな折、前田慶次郎が会津に入り、穀蔵院飄戸斎の名で上杉に仕官する。上杉家の家老・直江兼続は家康を糾弾、会津攻めを誘う。それは上方の石田三成の挙兵と呼応した、家康を挟撃する一大作戦だった。狙い通り家康を西へ向かわせた上杉は、伊達、最上と東北の熾烈な戦いへ。『乱世をゆけ 織田の徒花、滝川一益』で第九回角川春樹小説賞を受賞した著者が、天下のかぶき者の最後の戦いを描く!
著者等紹介
佐々木功[ササキコウ]
大分県大分市出身。東京郊外に育つ。早稲田大学第一文学部卒業後、一般企業勤務。生来の歴史小説好きが高じて、歴史小説を執筆するに至る。『乱世をゆけ 織田の徒花、滝川一益』で第9回角川春樹小説賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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如水
38
慶長出羽合戦前後を描いた物語。主人公は題の通り前田利益(慶次)…だけで無く直江兼続、慶次の付人となる六十郎を中心に話が進みます。「俠(おとこ)をみに、会津にこんか」この一通の手紙で慶次は会津へ。時代は秀吉亡き後、家康の謀略が始まり、魔の手は上杉家にも…面白かったですよ👍キーは兼続の思惑と「俠と上杉の義」でしょうか?特に六十郎が元服して改名した後からはこ〜心がぐわ〜っと🤯滾ります(笑)読んだ後『お、おとこ〜❗️』と叫びたくナルホド。因みに前田利益を一躍有名にした『花の慶次』を読まれた方はラップするかも⁈2019/04/19
onasu
22
「陰謀の日本中世史」でもって、世間を賑わす歴史上の謎なんてものの大凡は…、と読んだ傍からこちらを。 九州での如水(一応東軍?)もそうで、家康の去就は当然追っていて、西軍敗北の報でもって、こちらは長谷堂からの退き陣。真実はともかく、小説ではそれをどう彩るか。その辺、腑に落ちる解釈が二、三。革籠原で陣構えたって、あえてそこに行くか、とか。 肝心の慶次郎も、そういうのもありか、てな曰くで会津入り。兼続に野望あり、その抑えに慶次郎というのは初見ではないが、歴史小説はこうでなくっちゃ、てのが味わえる作品でした。2018/07/24
フミ
20
「慶次郎、北へ」というタイトルですが、関ヶ原時の会津・上杉家全体の空気を、慶次郎の側に付けられた前髪付き(元服前)の青年「安田六十郎」を通して見つめる…という感じの話です。表紙とタイトルで、慶次郎が暴れる痛快なモノを期待していると、戦場に生きる漢(おとこ)たちの精神をしんみりと描く感じなので「あれ?」と、違和感を感じるかも? 多分、浅田次郎さんの人情モノなどが好きだと、楽しめるかと思います。220頁~230頁程にかけて、主人公・六十郎に、大きな転機が訪れますが、少し説明が長く、読むのが疲れたかな…(^^;2024/09/15
スー
20
97前田慶次郎はこうでなくては!慶次郎の友と言えば直江兼続が真っ先に思い浮かびますが同じ上杉家にもう一人の友、安田順易の「侠を見に会津にこんか」の手紙を受け取り二人の従者を連れ会津に来るところから始まります。飄々とした慶次郎と慶次郎の従者になった少年の成長と武士の生き様を楽しめました。長谷堂城の戦いと撤退戦はもちろん上泉主水、神流川の戦い、那波顕宗、兼続と景勝主従と胸熱場面が多くて一気読みでした。まさかこんなに感動させられるとは思わなかった、いつの時代も生きるのは辛い慶次郎の言葉が心にしみました。2019/06/30
サケ太
19
良い歴史小説。豊臣家の支配に暗雲垂れ込める中、野望を抱く直江兼次。戦力を整える上杉家、会津に訪れた前田慶次郎。彼は、何故会津にやってきたのか。彼のそばで仕える事になった若者の視点から、慶次郎という男を描く。スピード感があり、他の武将らの視点も交えつつ物語が進む。新しい視点で慶次郎という侠が見える。最高に熱い侠の姿が。これは、それに学び、感化された若者の物語でもある。父と養父と慶次郎。因縁と約束が侠たちを繋ぐ。良い侠たちを見せてもらった。2018/12/28