出版社内容情報
当代きっての人気噺家・三遊亭円朝。芸も見事だが、美丈夫で、江戸の町の女性たちもこぞって寄席に押しかけていた。独身の円朝は、亡き円正師匠の家族の面倒を陰ながら見ていたが、そんなある日、師匠の幽霊が巷を騒がしているという噂を耳にした。同じ頃、師匠の家の蔵に謎の人物が間借りを始めた。円朝は二つの出来事の真相を追いかけるが……。円朝の芸に対するひたむきさと秘められた恋情、そして、周りの人々の濃やかな心の機微を描く傑作時代事件帖、待望の文庫化。
内容説明
当代きっての人気噺家・三遊亭円朝。芸も見事だが、美丈夫で、江戸の町の女性たちもこぞって寄席に押しかけていた。独身の円朝は、亡き円正師匠の家族の面倒を陰ながら見ていたが、そんなある日、師匠の幽霊が巷を騒がしているという噂を耳にした。同じ頃、師匠の家の蔵に謎の人物が間借りを始めた。円朝は二つの出来事の真相を追いかけるが…。円朝の芸に対するひたむきさと秘められた恋情、そして、周りの人々の濃やかな心の機微を描く傑作時代事件帖、待望の文庫化。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐりぐら
23
三遊亭円朝と言う実在の二枚目噺家が主人公。彼が得意とした怪談話を軸に師匠の幽霊話、四谷怪談をからめた骨董盗難事件、円朝の恋物語の3話。殺人事件が起こるも、噺好きな同心や円朝の弟子などが登場し、当時のお風呂事情や日々の献立など江戸情緒溢れ、楽しい。最後の謎解きが何とも物悲しい。2015/09/30
のんちゃん
12
読メ相性の頁からチョイスさせて頂いた一冊。昨年から落語にはまり、落語の勉強を始めた落語初心者の私のところにさえも、初代三遊亭円朝の高名は轟ろいている。数々の噺を創作し今尚語り継がれている。そんな円朝師匠が主人公の推理ものを和田はつ子先生は、とても面白く仕上げてくれている。名人過ぎて自分の師匠でさえ、嫉妬させてしまった噺家の実演を一度でいいから聴いてみたかった。落語好きの方にはお薦めの一冊。2017/03/11
marsa
12
あまり落語には詳しくないのですが興味深く読むことが出来た。天賦の才に努力があいまって伝説の名落語家が生まれ、おまけに人柄もよく役者顔負けの美丈夫なんて!凡人の落語家の嫉妬は納得できるものではないが同じ職業に就いている不幸は感じるだろうな。認める器が必要だろうがそれには心の余裕があるかだから。ただ遊太は許せないと思う。3話目は驚愕のエンディングだったがまたその後とか読みたいと思う。あれでおしまいかな?2015/10/13
犬養三千代
7
円朝の噺は速記録で残っているのを読んだことがある、作者はうまく噺を繋いで 捕物帖に仕立てあげた。 男の嫉妬の描きかたが微妙かな?女の気持ちは計り難し。円生のおかみさんの我儘ぶりそして、その娘との母子密着を金魚鉢に例えたのは妙案!2020/07/21
qoop
7
円朝を探偵役に据えた連作短編だが、細かい時代背景などは史実に絡めず、かなり自由度の高い設定になっている(元々が円朝をモデルとした創作人物を主人公にしているようだし)。個人的に、円朝の実人生を史実側に沿って虚実の間に組み込むのは物語的飛躍の幅が少ないと感じるので、こうした作劇は支持したい。2016/10/10