出版社内容情報
13世紀日本。収奪と貧窮の時代に、善人でいては生き延びられない衆生を救うため阿弥陀仏の信仰を深めた親鸞の思想の核心とは。
内容説明
平安末期、親鸞は、比叡山延暦寺に入門する。源平の戦いや大規模な飢饉により、日本中が苦しみに喘ぐ中、親鸞は激しい修行に打ち込むものの納得がいかず、ついに二十年修行した叡山を下り、専修念仏を説く法然に弟子入りする。親鸞聖人の七百五十回大遠忌を迎える今、自らも門徒である著者が描くその偉大なる一生。
著者等紹介
津本陽[ツモトヨウ]
昭和4(1929)年、和歌山市に生れる。東北大学法学部卒業。昭和53年『深重の海』により第79回直木賞受賞。主な著書には『闇の蛟竜』『雑賀六字の城』『宮本武蔵』『柳生兵庫助』『独眼龍政宗』『下天は夢か』『乾坤の夢』『獅子の系譜』『龍馬の油断』などがある。平成7年『夢のまた夢』で第29回吉川英治文学賞を受賞。平成15年旭日小綬章を受章。平成17年第53回菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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姉勤
24
浄土真宗の宗祖、親鸞の物語。平安末期、厳しい修行と学究の優秀者、いわばエリートのみが悟りを得られることに解を得られぬまま齢30を越え、比叡山を降り、法然に師事する。飢饉や戦災、重労働に塗れた市井の民が仏道修行する余裕も自由もないのなら、阿弥陀(アミターバ:限りない光,寿命)如来にすがり、その名号を唱えて救済されよう。また、他者の死によって生存する猟師や兵士、強盗や、教義的にバラモン教まで遡る女性など、その救済と絶縁された人にも救いの道を示した「南無阿弥陀仏」。それが簡便と誤解される矛盾を解く、親鸞の半生。2017/10/27
Kentaro
21
法然は10回念仏を唱えれば、どんなに罪を犯した人間でも、五障三従の身といわれ、極楽浄土に往生出来ないと言われていた女性でも、極楽浄土に導いてもらえるとした。 親鸞はさらに運命の人、筑前と添い遂げたくて、本来の仏教では禁じられている妻帯をも成し遂げ、以降、日本の仏教はインドや中国では考えられない、妻帯、世俗による継承を行い、日本における深く縛られないながらも緩く生き続ける信仰の心を根付かせた人物なんだなあと考えさせられた。あまりにも人間的に描かれているからかもしれない。2019/03/31
キミ兄
0
親鸞の一生、浄土真宗の成り立ち。☆☆☆☆☆。2010/07/01