感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
119
やっと最後になって、大団円を迎えました。いろいろ文句のある方もいらっしゃると思われますが、初めての経済伝奇小説と考えれば私は楽しめた気がします。結城との対決も楽しいものになっています。若干の不満は、10冊にしなくても6冊くらいにできる感じがしますまあ出版社の意向なのでしょうが。2016/09/06
活字の旅遊人
45
ついに読了。著者がファンドマネージャーとして働きながら考えていたことを落とし込んだのが本作なのだなあ。思えば第一巻から、人間が作り出したもの(端的には「銭」だが、他のものにも通じる)が、実はもともと存在し、それが人間をして姿を現しめ、人間を支配するのでは? ということを言い続けて来たのだろう。チョムスキーみたいだ。また民主主義が銭の力で支配できることなども明言させているし、巨額のカネが動く世界に身を置いてこその達観だな、と。書店員さんによる解説で「大河伝奇小説」と分類されていて、納得。経済小説ではないね。2022/02/18
まつうら
38
最終巻は第二次世界大戦の時代。激動の時代にあわせて、これまでの伏線を大急ぎで収拾するストーリーは、まさに息もつかせぬ展開。ヒトラーが独ソ不可侵条約を破ってソ連に侵攻する背景が描かれているのは興味深い。それと、真珠湾攻撃のときに米軍の空母が不在だったこと、奇襲攻撃を予見していながら臨戦態勢をとらなかった理由も描かれていて、なんとも滑稽ながら狂介たちのカラーが出ているようでおもしろい。最後にはアラン・チューリングが登場し、彼が遺した機械(人工知能)と銭をめぐる戦いが将来に続く。著者らしい結末にとても納得感!2022/06/23
もえたく
16
シリーズ第10巻。最終巻。全ての謎が明かされますが、闇の帝王結城が解き明かしていた人間を支配するものの正体にビックリ。経済小説じゃなくて、SF伝奇小説になってました。2016/09/20
あっきー
12
✴4 フランスの退廃芸術の女画商+反ナチ秘密結社の実王寺組はブルトン+バタイユが元ネタなのかもと思ったがそれはなかった、でもスケールが大きく自分も納得の大団円だった、実在の人物はハイデガーとチューリングが登場、全巻通してはベルグソンと九鬼周造のいきの構造をこれからやってみたくなったり、歴史的事件などいろいろ好奇心が刺激されて大満足の10冊だった2018/06/02