内容説明
わが願ひ、君が幸ひのみにて候ふ――一通の文だけを残し姿を消した許嫁・颯太との再会を願い、下総の小さな村からひとり江戸に出たおいちは、ひょんな縁から、本郷丸山の歌占師・戸田露寒軒宅で世話になることになった。そのほんの数日後、露寒軒宅の女中おさめと、その生き別れになっていた息子の縁を、一通の手紙によって再び繋いでみせたおいち。おいちに人の心を汲む才を認めた露寒軒は、颯太と会える日まで「代筆屋」を営んでみるよう勧めて……。真心を込めた手紙が人と人との縁を紡いでいく、連作時代小説、期待の新シリーズ誕生。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
55
文が物語の味わいを深くしているように思いました。真心込めた手紙が人々の絆を紡いでいくのにじんわりします。2023/02/24
はにこ
43
篠先生のシリーズを新たに読み始めようと手にした一冊。照月堂シリーズを読んでいたので読み始めてびっくり、あの露寒軒さんじゃないですか!照月堂の時より偏屈度高めw恋人を探すために下総から出てきたおいちが露寒軒の元で代筆屋さんを始める。人の心を伝える良い仕事だね。さて颯太には出会えるのだろうか?2021/10/01
kagetrasama-aoi(葵・橘)
37
「代書屋おいち」第一作目。将軍綱吉の時代、下総の国真間村に育ったおいち、将来を誓いあった颯太が、姉夫婦と共に失踪。おいちは江戸に颯太を探しに出てきます。江戸の本郷で知り合った“歌占”を営む元武士の戸田露寒軒の元で、代書屋をしながら颯太を探します。代書屋という仕事が温かい話を生み出して、心地好く感じます。有名な歌人でもある露寒軒の動向や、颯太の行方、どんな展開になるのか楽しみです。2020/12/20
のびすけ
32
篠綾子さん初読み。面白かった!楽しみなシリーズがまた1つ増えました。お互い想い合っていたおいちと颯太。ある日突然姿を消した颯太を探すため、一人江戸に出て来たおいち。ひょんなことから出会った歌占師・露寒軒の家で代筆屋を営むことに。おいちが代筆する文が、言葉では伝えられない想いを相手に届ける。おさめと息子の仙太郎、小津屋の美雪と仁吉、あずさ屋の幸松、皆いじらしくて、幸せになってほしいなと願う。小津屋の薄様(文や歌に使われる紙)が色鮮やかに目に浮かぶ。おいちは颯太と再び出会えるのか?この先の展開が楽しみ!2020/08/20
坂城 弥生
32
文章と詩を扱ったキレイな物語だった。代筆屋ってどんなかな?と思ったけど、想いを伝える手伝いをする仕事なんだな、と思った。2019/08/26