内容説明
信仰とは素朴なものであり、大自然への畏敬の心である。熊野に耽溺した南方熊楠をとおして、神道の原型と本来の信仰の姿に迫る意欲作。
目次
第1章 “血脈”熊楠と海人族―オオヒルメ伝説が暗示する聖なる血脈(熊楠の血脈について;祭祀氏族 ほか)
第2章 “精霊”熊野の神―家都美御子の正体(熊野神の正体;まず、神林あり。 ほか)
第3章 “異界”熊野と常世―死の国・補陀洛へ(地の果て;熊野権現垂迹縁起 ほか)
第4章 “詛言”熊楠と言霊―熊野への黄泉がえり(「祟り」ということ;言挙げする熊楠 ほか)
第5章 “反転”熊楠と神―「さかさまの世と相成りたるに候」(熊楠の神道観;狂人か神か ほか)
著者等紹介
戸矢学[トヤマナブ]
1953年、埼玉県生まれ。國學院大学文学部神道学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tamami
48
著者には『縄文の神』『諏訪の神』という著作があり、今回は同様に興味を持っている南方熊楠と神、ということで手に取る。熊野と関わり深い熊楠を、海人(あま)族の末裔とし、彼が起居した熊野の地の様々な神について、その本態を熊楠の著作の究明を通して探っていく。本作では神仏混淆以前の神道、あるいはそれ以前の縄文の神・信仰について、ヒモロギ、カンナビ、イワクラ等の事象を中心に自説を展開する。縄文以来の列島は、近年に至るまでほぼ森林に覆われ、人々の信仰は、山岳と巨岩巨木また流水など、自然に深く関わる中で発生展開してきた。2022/12/10
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