内容説明
運命の日から数年後、男と共存するのは犬や猫の動物ではなく、徘徊するゾンビのみ。人を襲わず、なにも喰らわず、何にも関心がなく、ただ生き続ける“死者”たち。男の他には“生きている”人間はいなかった。残された食料で生き続ける男は、無為な生活から逃れるように、やがて銃を手にする。狙撃手となった男は何を思い日々生き続けるのか?アニメ・映画監督の押井守が描く、新しい小説世界!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
眠る山猫屋
25
人を襲わない、ただ流離うだけのゾンビの世界に取り残されてしまった男の独白。疎外された宇宙で淡々と仕事をこなすということ。自分に無関心な世界を相手どり、日々を生き抜いていくということ。ひたすら内省し、己を整えようと足掻く。アイアムアヒーローに似て非なる主人公。2018/03/09
サトシ@朝練ファイト
24
意外と面白かった2019/04/30
TSUBASA
24
ある日、死んだ人間が動き出し、世界が<死者>で埋め尽くされた。その混乱により生者が滅び去った世界で、人間を襲うわけでもなく、ただ揺蕩う<死者>に正確な狙撃によって死をもたらす私。狙撃者としての私の死や狙撃に対する哲学。物語としては起伏がほとんどなく、膨大な蘊蓄がひたすら独白されるだけだし、なぜこんな世界になったのか、なぜ彼だけ助かってるのかなどもよくわからないので、正直面白味に欠けた。死に対する深い考察など、なるほどと思うこともあったけど、私が求めてるゾンビ小説ではなかった。2018/04/14
のぼる
20
内容を全く確認せず、「日記?ん?」と思いながらも題名で購入。ゾンビの怖いやつを期待して読み始めたが、全然違うやつだった。ゾンビは「人間に対してなにひとつ反応しない」 ひたすら死者を撃つ「狙撃手」の死への考察。怖いゾンビを期待していた自分には退屈だった。2017/10/10
神太郎
18
押井流のゾンビは「人を襲わない」「何も食べない」「ただ歩くだけ」というメジャーな設定の真逆を行く。押井さんの捻くれさと、原典に忠実な所に好感が持てる。主人公は淡々とその死者を葬るのを生業にしている。パニックものでしられるゾンビものですが、実際は「死」というものをまざまざと実感させられるわけですし、何もしない死者をどう扱うかっていうことからすれば「モラル」こそ真っ先に問われるわけで押井さんはゾンビものでそこに切り込もうとしている。ゾンビになるのも死ぬからなるではないらしいので原因不明な所が不安を煽る。2016/02/17