内容説明
黒船の来航により、風雲急を告げる幕末の世。安政二(一八五五)年、安中(群馬県)藩主・板倉勝明は、藩士の心身鍛錬を目的として安中城内より碓氷峠の熊野神社までの七里余り(約三十キロ)の中山道を走らせた。“安政の遠足”とも呼ばれた、日本のマラソンの発祥である。美しい姫をめぐりライバルとの対決に燃える男。どさくさ紛れに脱藩を企てる男。藩を揺るがす隠密男。民から賭の対象にされた男。余命を賭け遠足に挑む男。悲喜こもごもの事情を背負いながら、侍たちが走る走る。果たして勝者は?そして安中藩の未来は?人気の著者が放つ、涙と笑いの痛快スポーツ時代小説!!
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
286
時は幕末、数百年続く江戸徳川時代、平和ボケした空気を脅かす大事件、ペリー黒船来航!幕府の面々も右往左往し様々な混乱極める中、ある藩主が藩士達全員に命じたのは遠足(マラソン)であった!侍の心身を鍛え直すのが目的とはいえ、いきなり28キロを駆け抜けろなど、言われた藩士達はたまったもんじゃない❗でも「命令だしなぁ、困ったなぁ」という短編集。遠足を通じて皆、身近で大切なことに改めて気付きます。心地よい捻りもあって、実はストーリーは繋がっており読みやすい。現代にも通ずる普遍的な魂に触れ最後は爽快な結末でした‼️🙇2019/07/22
海猫
204
幕末の遠足(マラソン)を描いた5篇のオムニバス。バックボーンが同じで、それぞれの章の侍たちにそれぞれの思いがあり、遠足に挑むことによって何かを得たり失ったりする。味わいが各話違うし多様な印象が残った。ただし文章が軽いし、ユーモアの利かせ方が良いので読後感は重くない。各話別々のようで実は何気に繋がっている趣向も楽しい。この本の映画化「サムライマラソン」の予告を見たら、活劇要素増し増しな感じ。さて本編の仕上がりはどんなもんかな?2019/01/04
しんごろ
174
日本のマラソンの発祥とされてる史実・安政の遠足【あんせいのとおあし】を題材にした話!長編と思って読んでみたら短編^^;だけど、連作になってます!どの章も面白いですが、『逢引き』が好きかな(^^)痛快さ爽快さもあり、時間あれば一気に読了できるテンポの良さ!面白いです(^^)『超高速!参勤交代』同様、ここでも殿様は格好いいです(^o^)BGMにはカラーボトル『情熱のうた』がいいかな(^^)2016/02/23
Take@磨穿鉄靴
121
時代物なので買ったは良いけど暫く積まれていた本。率直に言って面白かった。個々の話が繋がって行く流れも無駄がなく、一つ一つの話もそれぞれが魅力的だった。ライバル、恋愛、隠密、俊足、師弟、少しゾッとさせられたりしたけどそれも良いスパイス。全体的には明るく楽しいお話。未舗装の道、トレイルをワラーチで30km弱ひたすら上るのは難易度的にフルマラソンの比じゃないと思う。やるのかやらないかと問われたらやりたい。地図はイラストであったからそれに高低差の表が付いてれば完璧。シンプルに楽しい。★★★★☆2018/03/21
小説を最初に書いた人にありがとう
120
超高速参勤交代シリーズで土橋作品にハマった。今作も期待を裏切らなかった。この作家さんに通底するのは勧善懲悪、正義は勝つ、仲間・友情・家族の大切さ等、大事なものを痛感させられる。そして、トップの器の大きさ、部下の忠誠心と組織論すら感じてしまう。今回も幕末のある藩でのマラソン(遠足)を通して短編で繋ぐも、全体を通してストーリーが紡がれる。良くできている設定。そして、気づけば温かい感涙。現代小説は池井戸潤、時代小説なら土橋章宏、爽快な読後感が似ている。2019/01/10