内容説明
超常能力ゆえに、自らに滅びの運命を課す独覚一族。その一人である結城弦は、長老から、人類を第三次世界大戦の危機に陥れようとする正体不明の独覚の存在を知らされる。ところが、一族の掟に従い、悪しき独覚を除こうとする結城たちの前に姿を現したのは、ブッダ入滅後五十六億七千万年を経て現世に出現し、衆生を救うといわれる弥勒だったのだ…。“神”をテーマに描く傑作SF。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
53
歴史の影にもう一つの隠された伏流水があるというのは『産霊山秘録』を始めとして伝奇ロマンの醍醐味だが、これはそれを戦後という時代に特化させたもの。独覚が超能力者だったというぶっ飛んだ設定を始め独特の仏教設定やサイキックバトルが楽しめたものの、いかんせん本自体が薄く最後駆け足になってるような印象は否めない。期待してたラスボス、ほぼ出てこないし。設定が極めて魅力的なので、出来ればこれの五倍くらいのみっしりとした分量で書いてみてほしかった。しかしこの作者戦中戦後のくすんだ様な時代書くの本当に上手いなあ。2015/06/04
眠る山猫屋
26
再読。超能力を継承し、自ら滅びを定めとする独覚一族と、一族を裏切る最強の独覚の死闘を朝鮮戦争の裏側を舞台に描く。高度経済成長期に至らない、戦後の立ち直れ切れていない日本のゴチャゴチャした感覚が良い。運命を受け入れる者と否定する者。揺れ動く者。増えすぎた人間を淘汰するための〝弥勒〟なんて、悲し過ぎた。2018/03/13
月をみるもの
9
なぜか久保田早紀「異邦人」を聞くと、この小説のラストシーンが脳裏に浮かぶ。2017/11/02
ちくわぶ
8
高校生の時に神狩りを読んだのを思い出して、同作者の弥勒戦争を読みました。読みやすい。朝鮮戦争辺りの時代に生きる超能力一族、独覚達のお話、物語自体短く、話がどんどん進んでいく。能力も仏教ぽい能力が多いけど、他の世界の話も織り交ぜてあったりするので興味深い。結末が分からないまま終わっていくけど、これはこれでよい感じだと思う。2016/04/22
p-こ
7
これは、いいですね・・・。古さを感じない。脳や進化を絡めた話が面白かった。現代の作品の祖のひとつになっているのではないかという世界観。2015/09/03