内容説明
女房が出て行った。二人の子供を残して。預金通帳の残金は二万円。作詞家の「俺」の子育ての日々が始まる。詞を書き、酒を飲み、女と遊び…そんな十六ビートの生活はしばしお休み。弁当を作り、子供の送り迎えをし、猫の「ポン太」に人生相談をする、ゆったりとしたワルツの暮らし。だが、いつまで続くものやら。「神田川」の作詞家が哀切と可笑しみを込めて描く、愛おしさ満点の傑作家族小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
54
【寅年にネコ本を読もう】「神田川」や「優しい悪魔」などを書いた作詞家によるファミリー小説。妻に去られたシングルファーザーとなった売れなくなった作詞家の慌ただしい生活と、彼がふと思いおこす自分のこれまでの生きざま。妻に去られた売れなくなった作詞家の日常もなかなか変わっているのだが、徐々に明らかになっていく彼の過去もかなり変わっている。そのどちらにも共通しているのが、「親子の在り方」。親子とは、血のつながりだけではない。血がつながっていなくても、親子になれる、家族になれる。心から相手を思っていれば。2022/08/11
びっぐすとん
9
108円本。初読作家さん。売れっ子作詞家の時に調子に乗ってたら女房に逃げられた主人公。シングルファザーとして頑張る騒動記。全体としてはいい話だけど、家出てった奥さんが悪者になっちゃって気の毒。途中入る回想や複雑な家庭環境とかもっと現在と絡めば良かったな。お母さんの思いとか両方の親の気持ちも宙に浮いちゃったままで惜しい。昭和40~50年代の設定もノスタルジーまで行かない半端な時代で、現代の話でもよかったかも。猫もタイトルの割に影薄い。当時キャットフード常食の猫っていたの?うちの犬は味噌汁ぶっかけご飯だった。2018/03/20
カニック
5
かの有名な作詞家喜多條忠さんの小説ということで興味本位で読みました。まるで自伝じゃないだろうかと思わせるようなリァリティのある作品でした。ちゃらんぽらんな主人公もどこか憎めない感じだし何よりもパセリとユタカが愛らしい!2019/06/01
ゆいこってぃ
0
ちゃらんぽらん男のシングルファーザー奮闘記。ちゃらんぽらんらしく毎日がわさわさと楽しいんだけど、ふっとした瞬間にちゃらんぽらんの裏側にある、すーっと寒くてさみしい部分に入って、愛しいもの哀しいものをじーっと見つめてしまう、という感じが、切なすぎて泣いちゃう。そして神田川!2015/06/03
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