内容説明
敗戦ののち、めっきり家庭を顧なくなった夫を、三人の子どもとともに待ちながら暮らす妻のひとり語り「おさん」。他者へのサービスのために身をすり減らす未亡人の切迫した姿を描いた「饗応夫人」。そして、闇商売で荒稼ぎをしてきた雑誌編集者が、これからはまっとうに生きていこうと、絶世の美女を妻役に雇い、かつての愛人たちに別れを告げに歩く「グッド・バイ」(未完の遺作)など、全四篇を収録。太宰の晩年の気配が伝わってくる名作品集。
著者等紹介
太宰治[ダザイオサム]
1909年、青森県北津軽郡金木村(現五所川原市)に生まれる。本名津島修治。東京帝国大学文学部フランス学科中退。1935年「逆行」、1936年「晩年」が芥川賞候補となる。以後も「走れメロス」「ヴィヨンの妻」「斜陽」など精力的に執筆を続け人気を博すが、大学在学中より薬物中毒に悩み、自殺未遂を数回繰り返した。1948年、玉川上水に入水。満三十九歳の誕生日の早朝、遺体が発見される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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