内容説明
名料理屋「一柳」の主・柳吾から求婚された芳。悲しい出来事が続いた「つる家」にとってそれは、漸く訪れた幸せの兆しだった。しかし芳は、なかなか承諾の返事を出来ずにいた。どうやら一人息子の佐兵衛の許しを得てからと、気持ちを固めているらしい―。一方で澪も、幼馴染みのあさひ太夫こと野江の身請けについて、また料理人としての自らの行く末について、懊悩する日々を送っていた…。いよいよ佳境を迎える「みをつくし料理帖」シリーズ。幸せの種を蒔く、第九弾。
著者等紹介
高田郁[タカダカオル]
兵庫県宝塚市生まれ。中央大学法学部卒。1993年、集英社レディスコミック誌『YOU』にて漫画原作者(ペンネーム・川富士立夏)としてデビュー。2008年、小説家としてデビューする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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zero1
947
又次はふきや澪の中に生きている。希望を見せた終盤の第九巻。高価な蒲鉾を作ろうと苦しむ澪。ここで坂村堂と源斉がアシスト。芳に贈られた珊瑚の簪で涙。女の幸福にふきが跳ぶ。芳は一柳へ行くが、代わりに臼が来る。彼女の夫は誰?思いがけず面影膳で番付に載るが、種市の矜持が見事。柳吾は澪を一柳で修業させること、さらに料理人としての佐兵衛を諦めていなかった。失意の野江を遠くから見て、鼈甲珠で勝負に出る澪。この巻のMVPは柳吾ではなく菩薩のお園。特別収録であの人が登場。次はついに完結「天の梯」。七色の梯を青い空にかけろ!2019/08/31
yoshida
853
みをつくし料理帖第九弾。雲が徐々に晴れて、これまでの苦労が報われてきました。芳の一柳への輿入れと、佐兵衛との再会。婚礼の席での心尽くしの料理「宝尽くし」は、今までのつる屋を取り巻く人々の想いが詰まった素晴らしい料理だと思います。鼈甲珠を吉原で売り、野江を身請けするよう動き出す澪。澪の姿を見ていた摂津屋の助けで鼈甲珠を卸売りが出来ることに。料理人としての道を悩んでいた澪に、道を気付かせてくれたのはやはり源斉だった。このまま澪は源斉と結ばれると予想すれば富士日和であの人が。最終巻での伏線の回収が楽しみです。2016/07/17
Yunemo
801
やっぱり、読んで良かった!この一言につきます。このつる家が現代にあったらどうなんでしょう。善人と情の世界で成り立つのでしょうか。でも、この世界が本当に存在したなら。ちょっと妄想気味ですが、この懐かしさ、気持ちのさざ波、は半端じゃありません。『食は、人の天なり』、この言葉が胸に染み渡ります。作る側も、食する側も、互いの気持ちが通じあう、この関係が愛おしい。そうしたほのぼのとした感情を、胸に残して読了。最後にどういう結末を想定したならいいんでしょう。2014/03/09
AKIKO-WILL
792
一柳の誘いに悩む澪。野江の身請けのために吉原での鼈甲珠を売り出す事に決めてからの澪はやはり強い。そして、ついに源斉先生の存在を澪が気付いてくれた。あと残すは最終巻…もう早く読みたいけど、これで終わってしまうのかと思うと。特別収録に小松原さんが出てきて嬉しい。2016/01/10
た〜
766
この物語は和食そのものだ。繊細にして大胆で、幅広いのに奥深い。 次回で最終回という終盤だけれど新たな登場人物がいい味を発揮。でも今回は柳吾さんに尽きる。ほうとうに格好いい。2014/02/16