内容説明
山間部の川沿いを車で走行中、窓から入ってきた腕(第二話 腕)、病院で起きた様々な怪異(第二十二話 看護師夫妻)、夜の火葬場での不思議な体験(第二十五話 火葬場二題)。著者のもとに自然に集まってくる、奇妙で不思議で怖い話を、「解釈」をせず、忠実に書きつづった“怪談の標本箱”。全三十七話。
著者等紹介
平谷美樹[ヒラヤヨシキ]
1960年岩手県生まれ。大阪芸術大学卒業後、岩手県内の美術教師となる。2000年6月、『エンデュミオンエンデュミオン』(ハルキ・ノベルス刊)で作家デビュー。同年、長篇SF『エリ・エリ』で第1回小松左京賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
139
百物語10夜の後に出された実録怪談集の2冊目で、これが最後の一冊という事ですが惜しいですね。本書は全37話と少なく前に比べてやや長めの話が増えましたが少しも変わらない安定した良さがありますね。『吹奏楽部の怪』高校の吹奏楽部が県のコンクールに向けて練習しているとある女子が後ろを振り返って怒る。何度も誰かが背中をトントン叩くと言うのだが誰もがやっていないと否定する。過去に吹奏楽部に入部希望だったのに親に反対されスポーツ部に無理矢理入らされて死んだ少年がおり彼の霊の仕業と推測した先輩が説得すると怪異は収束する。2020/07/05
HANA
44
実話怪談集。他の実話怪談が技巧に走るのが多い中、こんな不思議な話がありますよ。とばかりに様々な話を嬉々として出してくる、そんな実話怪談集。何かその姿勢に、語るということの原点を見るような気がして好感が持てていました。怪談なのに読んでいて少し安心するという奇妙な本。作者の人柄が滲み出ているのかしら。そんなシリーズも本巻で最終巻。終わってみると他に類を見ないような独特の立ち位置の本だな、と改めて思わされます。毎年でなくてもいいから、集まったらまた本を出すってスタンスで続けてくれないかな、これ。2013/09/10
みや
29
著者の元に自然と集まった奇妙で怖い話を37編収録。「解釈せず、忠実に綴る」というスタイルだからだろうか。実話怪談でありがちな安っぽさや嘘臭さがなく、日常の中にスッとさりげなく入ってくる様子が慎み深くて好ましい。文章にも品があり、俗っぽさがないので読んでいて心が凪いだ。兄弟や親子で体験するものが多く、『血筋』は確かに関係があるのだなと改めて思う。一度で良いから経験してみたい。地味でシンプルな現象が多い中、一人暮らしの女性が生首をトイレの便器で笑いながら洗う女を見るエピソードはインパクトが凄かった。2020/03/10
ラルル
14
シリーズ最終巻。決して強くない、どちらかと言うと身近に起こりそうなお話、考えようによっては説明のつくような話。…なんだけど、この柔らかさがこのシリーズの色かもしれません。シリーズは終わっても別の形でまたこの方々の怪談が読みたいですね2013/10/29
chatnoir
8
寝言で弟達が「ひでよし...」とか「のぶながさま・・・」とか言っているのが気になる(笑)そんなに怖い話はなかった。タイトルは続いていないけど、実質は12巻目らしい。話数も減っている。印象深いのは「母の涙」だったかな...状況は全く違うけど...亡くなった人から涙がでるのは見たからなぁ。家の場合は病院に対する悔し涙かな。2016/02/13