内容説明
テレビ番組の人気リポーター・羽鳥亜里沙は、中学卒業を間近にした二月、冷凍睡眠装置の研究をする“未来科学研究所”を取材するために、つくば市に向かうことになった。撮影の休憩中に、ふと悪戯心から立ち入り禁止の地下五階に迷い込んだ亜里沙は、見てはいけないものを見てしまうのだが。どんでん返しの魔術師が放つ傑作ミステリー、待望の文庫化。
著者等紹介
乾くるみ[イヌイクルミ]
1963年静岡県生まれ。静岡大学理学部数学科卒業。98年『Jの神話』で第4回メフィスト賞を受賞し作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
Tsuno本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
相田うえお
186
★★★★☆これは面白かった!一見、人間冷凍保存をテーマにした話だが。。人を冷凍して未来で解凍復元?これって、ある意味では片方向(戻れない)タイムマシンと言えなくもないですね。本作品は細かい事がやけにリアルなんですよ。例えば冷凍保存した人を蘇生した場合、その子孫が相続したものは当人に返すのか?とか税金は?みたいな。あと舞台となる2036年の様子が書かれてるんですが、いくら何でもこんなには発展しないと思うんですよね。でも1ドル40円はあり得るかもですね。やっぱり乾先生!最後はびっくり大どんでん返し!実は!!2016/10/15
へくとぱすかる
145
冷凍睡眠に関わるSF仕立てで話は進んでいく。楽天的な「夏への扉」とは打って変わって、その技術が決して未来への夢のあるものではなく、社会的に混乱を引き起こす問題がありすぎることを思い知らされる作品。結末がこんな形になるとは、さすがに感心しました。伏線が破綻しないどころか、よくぞ着地点を見つけたものだと思います。これをきっかけに他の作品も読んでみたいですね。2015/11/28
りゅう☆
96
明晰頭脳、容姿端麗14歳亜里沙。冷凍睡眠装置の研究をする「未来科学研究所」の取材中に突然消息不明に。時は30年後。冷凍睡眠された彼女をノーベル賞を受賞した戸松が蘇生したのだ。14歳のままの深き愛故に。様々な罪を背負うことになった二人。愛を育み静かに日々を送りたいだけなのに。一方、冷凍睡眠しなかった亜里沙の人生。どちらが現実でどちらが夢なのか?亜里沙とアリサ表記が気になってたけど、どんでん返しの乾さん、そうきたかー。幸せのような幸せでないような。でもこれでよかったんだよね?と思える読後感。【積読本1冊目!】2021/08/04
みゆ
86
またもや乾さんにヤラレタ~ (/_x)/チュドーン 今度のお題はコールド・スリープ。14歳の少女がとある理由で冷凍睡眠装置に入れられ30年後に目を覚ます。ハインラインの『夏への扉』オマージュたっぷりの近未来SFかと思いきや、中盤で物語は一転、どゆこと?(゚_。)?(。_゚)? それがラストでカチりとピースが嵌り、一つに収斂する快感にワォ!『イニシエーション・ラブ』クラスの練りに練った構成です。乾さん、天才ヽ(^o^)丿2023/07/26
takaC
75
実は乾作品の中でも結構好きな話なんだな。貫井要美(ぬくいいるみ)のお遊びも含めて。2015/10/02
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- 和書
- 藩陶器専売制と中央市場