出版社内容情報
前漢武帝の時代。やむなく匈奴に降った李陵、彼を弁護したために宮刑に処された歴史家・司馬遷、李陵の友人であくまで敵方に屈しなかった蘇武――権力に翻弄されながら、〈生〉を意味あるものとするためのそれぞれの生き様を描いた「李陵」、己の自尊心のために人喰い虎になってしまった詩人の苦悩を綴った「山月記」ほか、〈自分とは、人間とは〉と問い続けながら、若くして世を去った著者の心の叫びが胸に響く、名作計三篇を収録。〈エッセイ・梯久美子〉
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちー坊
24
現文の授業で山月記を習ったことから興味をもって読了。硬い文章でしたけど訳注をみれば普通に読めたので安心しました。さて、初めて読んだ『李凌』ですが『山月記』同様、なんだかやるせなく理不尽で釈然としないものを感じました。李凌もかなり不憫なのですが、どちらかというと宦官になった司馬遷の方が不憫で仕方なかったです。仕事に没頭することで何とか生きる意味を見出した司馬遷の必死さ葛藤を感じました。読むのに時間はかかりましたがまた中島敦の著書を読んでみたいです。2017/02/06
myunclek
22
森見登美彦の新釈「走れメロス」を読むのに原典を探しだしたもの。 感想は、新釈の読後ということで…。2014/07/01
麻衣
20
高校の授業で習った山月記が読みたくなって購入。改めて読んでみてびっくり。なんだこの震えるようなかっこよさは。高校生の頃、自尊心と羞恥心という言葉の響きにはまり、なぜか乱用していた痛々しい記憶が蘇りました。苦笑。しかし「自らを尊ぶ心」が強いのは恥じるべきことなのか。逆に言えば、虎になれるだけの確固たる自尊心をもったひとが一体どれくらいいるのだろう。わたしは虎にはなれない。それはほっとするようでいてやっぱり寂しい気もする。2016/07/06
花乃雪音
18
「山月記」「名人伝」「李陵」収録。「山月記」は人から虎になってしまった男の物語。元ネタの話では人殺しをして虎になるが本書では明快な理由が記されていない。外道な行いをしたというより、ひとでなしであることを自覚した男の物語に思えた。2021/12/08
軍縮地球市民shinshin
18
33歳で夭折した作家中島敦の代表作だけを集めた本。「山月記」はやはり国語の教科書で初めて接し、その心地よいリズムの漢文的な文体から音読に最も適した文学作品だと思う。自らの才能を過信するあまり人生を棒に振り、最後は虎になってしまったという李徴の話。「名人伝」と「李陵」は読んだことがなかったが、特に「李陵」はなかなか深い作品だ。「山月記」は若者の文学で、「李陵」は大人の文学と巻末に寄稿した俤久美子は言っているが、まさにそのとおりだろう。2021/04/05
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