内容説明
想いびとである小松原と添う道か、料理人として生きる道か…澪は、決して交わることのない道の上で悩み苦しんでいた。「つる家」で料理を旨そうに頬張るお客や、料理をつくり、供する自身の姿を思い浮かべる澪。天空に浮かぶ心星を見つめる澪の心には、決して譲れない辿り着きたい道が、はっきりと見えていた。そして澪は、自身の揺るがない決意を小松原に伝えることに―(第一話「冬の雲雀」)。その他、表題作「夏天の虹」を含む全四篇。大好評「みをつくし料理帖」シリーズ、“悲涙”の第七弾。
著者等紹介
高田郁[タカダカオル]
兵庫県宝塚市生まれ。中央大学法学部卒。1993年、集英社レディスコミック誌『YOU』にて漫画原作者(ペンネーム・川富士立夏)としてデビュー。2008年、小説家としてデビューする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zero1
1008
涙、涙のシリーズ第七弾。澪の幸福はどこに?作者は悪魔かサディストか?雲の向こうの青空を見るのに、これほどまでの試練が必要なのか。奉行の妻?料理の道?澪は決断する。師走の番付が発表される。つる家は?苦心の末、祈りの宝船が完成!だが澪に最大のピンチが!この巻のMVPは間違いなく又次。柳吾の厳しいアドバイスと病人のための料理。助っ人の又次を見送った澪だったが、吉原に火が!太夫を救いに向かう又次。想いは襷としてふきに継承?瓦版には「艱難辛苦に胸が痛い」という投書が。再読なのに私の胸も痛かった。「残月」に続く。2019/07/27
しゅわ
850
「みをつくし料理帖」シリーズ第七弾。前作ラストで大きな決断をした澪。彼女の気持ちはわかっていたけど、やっぱりせつなくて、たとえご都合主義でもいいから「大どんでん返し」がある!と期待しながらページを繰りました。そんな期待を逆の意味で裏切りまくり、あまりにも澪につらいことが多すぎて、さらにラストには…本気で作者をうらみたくなりました。「雲外蒼天」とはいえ、こんなに哀しいことばかり起こらなくても良いのに(涙) その上、(いままで半年に1回だった刊行が)次作まで1年…待ち遠しすぎる。
yoshida
849
みをつくし料理帖第七巻。波乱万丈の展開でした。最後は涙なくしては読めなかった。料理人として生きる道を選んだ澪は小松原の婚礼を知り悩み苦しむ。結果、澪は心労で味覚と嗅覚を失う。つる家の窮地を救うため、種市は又次を助っ人に頼む。吉原で荒んでいた又次も、つる家の日々で明るく変わる。ふきも又次に料理の手ほどきを受けなつく。又次が吉原に帰る日、吉原を大火が襲う。又次はあさひ大夫こと野江を大火から救うのだが。衝撃により澪に嗅覚と味覚が戻る。そしてつる家の人々は喪失を受入れ、乗り越えようと歩き出す。最後の虹に涙が出る。2016/06/26
扉のこちら側
781
初読。別れの巻。美緒の語った未来の夢に、そうだったらとすがる気持ちで読み進めるも、決定的な別れとなってしまった。そして表題作も、目次の「哀し」柚べしの文字に予感はしていたがやはり惜しい人を亡くしたと思う。2012/08/21
hiro
773
澪にはいつも以上につらい第七弾だった。澪と小松原との関係は、第六弾で暗示していたとおりになってしまったが、澪のことを思い、ひとり黙って責任をとる小松原の姿は、澪がほれるだけあって本当にいい男だ。やはり男は、こうでなくてはいけない。でも、第七弾が出るのを半年も待って、これだけで二人の関係は終わってしまうのかと思うと、あっけない感じはした。また、もうひとり又次もつる屋で本当にいい男になったと思ったが、こんな結末になろうとは。でも、今回一番寂しいのは、次回澪をはじめつる屋のみんなに会えるのが一年後ということだ。2012/03/21