内容説明
自分の少年時代とまったく接点のない沙織が、なぜウイニングボールを持っていたのか?謎が健太を包む一方で、健太の母は自殺を図り、父とともに戸隠を去った…。家族崩壊の責任を一身に背負った健太は、恋人が凍死した雪の穂高へ、謎の解明と死の誘惑にかられて出かける。だが、おりからの猛吹雪で滑落。山岳救助隊員となった、かつての野球仲間たちは健太を救うため、悪天候の中、ヘリと地上から決死の救出に乗り出した。そして健太を待ち受けていたのは、想像を超えた驚愕の真相。
著者等紹介
吉村達也[ヨシムラタツヤ]
1952年、東京生れ。一橋大学商学部卒。ニッポン放送のディレクター、扶桑社の書籍編集長を経て、1990年より専業作家に。推理小説とホラーを中心に独自の企画性に富む作品を続々発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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そのぼん
14
【ネタバレ注意】色んな人々に支えられている主人公…。様々な真実を知って、少しは成長さたかなぁと思える雰囲気になりました。最終的には、納得出来る終わり方でした。ただ、『あの人物』は死んでほしくなかったな…。 2012/07/10
yamakujira
5
健太の屈折した感情がどうにも理解できず、共感も同情もいだけない。なぜ沙織はこんな男に惹かれたのか、そしてなにを訴えたかったのか。後半は健太の運命よりも、山岳救助の現場を担うコーチや駿介の物語がおもしろかった。自業自得なのに多くの人に救われた健太は幸せだったのか、重い十字架を背負わされて生きていけるのか、よほど心を入れ替えないと自暴自棄になりそうだな。 (★★★☆☆)2015/10/01
♪りんまま♪
5
やっぱり健太には同情できないけど、彼の両親が背負ってきたものの重さは想像以上だった。それを知った健太は今後どうなっていくのか…雪山の恐ろしさ、凍傷の描写がリアルで背筋が凍る思いがしました。2015/05/29
勝部守
4
下巻に入って、かなりリアルな山岳小説に。レスキューの方々には頭が下がる。登場人物の感情面やストーリーは、私には後味が良くなかった。2015/09/29
kyhitsuji
3
きれいにまとまった終わり方だったと思います。 吹雪の雪山の怖さが十分に描かれてます。 そして凍傷専門医師に凍傷の治療が生々しいです。 主人公の健太が業が深すぎる。改心するとかしないとかそういうレベルではないくらい背負って生きている。2015/02/13