感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
PSV
77
こんな素晴らしい作品が新品で280円だなんて、日本は恵まれた国だと思う。宮沢賢治の紡ぐ、独特の言葉のリズムは、詩的とも詞的ともとれる。深い寓話性に富んだ物語世界に身を委ねれば、そこにはもう一つの銀河が現れてくるはず。「銀河鉄道の夜」ももちろん素晴らしいのだが、「雪渡り」の「堅雪かんこ、凍み雪しんこ」の持つリズム性は、凄く心に沁みこんでくる。つい口に出して言葉にしたくなる。 ★★★★☆ 本棚に置いておきたい一冊。なので早速今日、本棚を買ってきます(笑)2012/07/25
ハッシー
63
★★★☆☆ 未定稿のまま遺された著者の代表作。今回で読むのは3回目になるが、わかったようなわからないような作品。この物語を通して作者が伝えたいことは何となく分かるし、銀河鉄道の世界観は素晴らしいとは思うのだが、登場人物の変わった名前や極端な感情描写、突拍子もない展開に共感できないので、この名作の良さが分からない。このような感想しか思い浮かばないのは、感受性が低いのか、もしくは童心を忘れてしまったからだろうか?2020/10/27
mii22.
56
2022年七夕に。娘のおすすめで娘からのプレゼント本のこちらから「銀河鉄道の夜」を再読。なんとももの悲しく心に沁みる物語であるけれど、他の作品でもみられるように星ぼしや天の川の表現の美しさは夢の世界を描きだしている。賢治の心象風景なのだろうか唯一無二の煌めきで読者を幻想的な夜空の旅へと誘いだす。2022/07/08
mii22.
51
あー思い出した。子供の頃星座に魅せられ、毎夜星空を眺め空想に耽り、星の図鑑やプラネタリウムが大好きだったのは、この物語がきっかけだった。夏の夜、部屋の窓から蠍の火(アンタレス)を見つめ続けていた時、遠くで列車の走るゴトゴトという音がかすかに聞こえていた。あれは銀河鉄道だったのかも、そんな空想を今もちょっぴり楽しみながら、懐かしんだ。忘れていた大切な記憶を取り戻せて嬉しかった。この本をプレゼントしてくれた娘に感謝。2017/07/21
ひらけん
46
実家の本棚の奥にあったから気になり読んで見たな。始めはきちんと校閲してるんかよ。平仮名が多すぎて読みにくくて仕方ないって突っ込みそうになった。話は幻想的でもしかしたらジョバンニの夢の話かなって思ってもうた。話を書いた時の銀河は今の銀河と何も変わらない。宇宙の謎は解明されても結局、星の形や銀河の形は人間の生きる時間なんかよりもっと長い年月をかけてゆっくり変わっていく。そこに宇宙の浪漫を感じるな。ちなみにこの本を母のはどんな思いで読んだんやろ。それから何十年経って息子が読む。これが文字で表現する本の魅力かな。2016/12/02