内容説明
立場茶屋「おりき」で下足番の修行をしていた三吉の、京への旅立ちが近づいていた。京の文人墨客加賀山竹米に、絵の才能を見出されたのだ。おりきや双子の妹おきちはその旅立ちを喜んだが、孫のように面倒を見ていた善助は、魂が抜けたようになってしまっていた。そんなある日、おりきは番頭から、茶立女のおまきが妊娠しているらしい、と相談される…(「忘れ雪」より)。人生の出逢いと別れを温かく濃やかに描く、大人気シリーズ、待望の第六弾。
著者等紹介
今井絵美子[イマイエミコ]
1945年、広島県生まれ。成城大学文芸学部卒業。画廊経営、テレビプロデューサーを経て、執筆活動に入る。98年「もぐら」で第16回大阪女性文芸賞佳作。2000年「母の背中」で第34回北日本文学賞選奨。02年、第2回中・近世文学大賞最終候補作となつた『蘇鉄のひと 玉蘊』を郁朋社より刊行。03年「小日向源伍の終わらない夏」で第10回九州さが大衆文学賞大賞・笹沢左保賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とし
55
立場茶屋おりき「忘れ雪」6巻。立場茶屋おりき、様々な過去を持ち集まりやがて家族となる、年をとり老いてゆく人、病で亡くなる人、旅立つ人、喜怒哀楽人の一生の縮図が展開されているのかな、今回は胸が熱くなるお話が一杯でよかった。2014/04/01
優希
42
成長と旅立ちについてしみじみ考えてしまいますね。人生は出会いと別れのあたたかさなのかもしれません。2022/02/23
Walhalla
39
『立場茶屋おりき』シリーズの6作目です。タイトルの「忘れ雪」ですが、少し調べてみると、これは春に降る最後の雪という季語だそうですね。他にも、「なごり雪」「別れ雪」「淡雪」などといったものがあるそうです。学校で習ったかも知れませんが、全く記憶にありません。大人になって、改めてこういう美しい言葉に触れると、とても新鮮な気持ちになりますね。2020/05/21
はにこ
37
子供達の成長とそれを見守っていた親達の老い。三吉が良い子すぎて思わず涙が。善助の気持ちも痛いほど分かる。長生きして欲しい。こうめ、どうしても好きになれない。。前から思っていたけど毒親気味だよね。。結構育児放棄もしてるし。おきわは不器用だけど良いお母さんしてるね。相変わらず惚れっぽいおまき、従業員やその家族が病気になる度に私のせいだわっとなるおりき、格好良い幾千代も健在だった。2021/05/06
Smileえっちゃん
14
表題に誘われ手にした初作家さん。シリーズ第6弾。読みやすくすらすら読めました。立場茶屋「おりき」で下足番をしていた三吉が絵の才能を見出され今日に旅立つ。孫のように面倒を見ていた善助。二人のこれから先が気にかかります。シリーズ1から読んでみようかな…2023/07/23