内容説明
人か狐か正体がわからない三吉をめぐる物語「きつね三吉」、鳥の巣ばこに住むおばけと男の子のほほえましい交流を描いた「ぼくのおばけ」など、日常のなかにかくれた“不思議”を、丁寧な細工をこらした文章で綴る名作ファンタジー全12篇を厳選。自分のまわりでもこんなことが起きたらいいな―と、温かくやわらかな気持ちになる珠玉のアンソロジー。
著者等紹介
佐藤さとる[サトウサトル]
1928年、神奈川県生まれ。1949年関東学院工業専門学校建築科(旧制)卒業。1949年、平塚武二に師事。同年、同人誌『豆の木』に参加する。1959年、自費出版した『だれも知らない小さな国』を、同年講談社より刊行し、毎日出版文化賞、国際アンデルセン賞国内賞などを受賞する。1967年、『おばあさんのひこうき』で厚生大臣賞・野間児童文芸賞を受賞、2007年、『本朝奇談天狗童子』で赤い鳥文学賞受賞。著書多数。巌谷小波文芸賞、エクソンモービル児童文化賞受賞。日本のファンタジー作家の第一人者として現在も活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐島楓
17
全12編のファンタジー短編集。どの作品からも、「コロボックル物語」のせいたかさんに通じる負けん気と好奇心が読み取れる。民話風の「きつね三吉」のアクロバティックな結末、「ぼくのおばけ」の切なさが良い。もしかしたら、並行世界って本当にあるのかも・・・そういうわくわく感を秘めた作品集。2013/01/11
ゆず
10
小学生以来、佐藤さとるさんの本を手に取りました。暖かみのある作品ばかり、コロボックルシリーズ是非もう一度読んでみようと思いました。 2013/10/23
恵美
8
久しぶりに佐藤さとるワールドにどっぷり浸りました。私がファンタジー好きになった原点の作家さんなので、いつどんなときに読んでも懐かしいような子どもに戻ったような感覚になれて嬉しくなります。『ぼくのおばけ』は読んでいてコロボックルシリーズのせいたかさんを思い出しました。何かを見つけたときのわくわくした子どもの表情が伝わってくるようでした。2013/08/01
eneo
3
中学時代に何回も繰り返し読み、自分の重要な一部分となっている佐藤さとる作品との久しぶりの再会。初読の作品はたぶん2つ位か。かつて読んだ時と同じような、明るい光を浴びるような気持ちで読む。可能であれば、村上勉の挿画で読みたかった。じゃなかったら挿画なしでよかったかも。すみません>イラストレーターの方。 2013/02/07
ゆうき
3
佐藤さとるさん……コロボックルの!ちいさな国の!と懐かしくて思わず手に取った。12篇入ってるとあって、1篇5ページから長くても30ページほど。言葉も簡単やし深い心理描写とかもない。読み始めは「?」が浮かぶ話もあって「想像力なくなってんのかなぁ…」と思ったりしたけど、読み進めるごとに幼い時に還っていくようだった。不思議とか秘密って単語だけでワクワクしてたような、素直な気持ちで読めた。こういう話好きやったなぁ、と純粋に思った。2011/10/30