内容説明
いつの世も夫婦の絆は変わらない―五人の作家が紡ぐ、五組の男と女のかたち。夫婦の情愛を描いた、傑作時代小説アンソロジー。
著者等紹介
細谷正充[ホソヤマサミツ]
1963年、埼玉県生まれ。文芸評論家。書店員を経て、時代小説・ミステリーを中心に、エンタテインメント全般を、幅広く論じている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
104
時代小説家5名の『夫婦』アンソロジー。世界には一夫多妻の国もあるが(日本とて側室を置いた時代もある)夫婦はふたり。5作どれも良かった。好みは池波正太郎『夫婦の城』「わたくしは、小幡定信の妻にございまする」と言い切った正子の凛とした姿がいい。又、宇江佐真理『恋文』息子に乞われ別れようとした夫に書く恋文百通。百通書く前に気付くのだ。夫婦の間には互いにしかわからぬ思いがあるのだ。些細なこと。日々のあれこれ。夫婦であってこそなんだなぁ。さて、わが夫婦はどんな『ふたり』だろうか。まだ先は長いと思いたい。2018/01/23
じいじ
84
なかなか味のある時代小説アンソロジーだ。初読みの澤田ふじ子【凶妻の絵】が面白い。江戸に残してきた妻の不倫に苦悶する夫の話。私のお薦めは次の二編。池波正太郎【夫婦の城】戦国時代の夫婦が興味深く描かれている。政略で嫁いだ醜女の妻が二子を生んだ後、夫が目を見張るほど美しくなっていくキャラ設定とその描写が秀逸。あっと驚く終結の妻は潔く、武将の鑑で読後感がいい。【恋文】は町家から武家に嫁いだ良妻(?)賢母の妻を主人公にした物語。宇江佐真理の味を存分に発揮した傑作。結末はこれぞ理想の夫婦だと、目頭が熱くなった。2016/10/09
けやき
41
夫婦を題材とした時代小説アンソロジー。池波正太郎「夫婦の城」、宇江佐真理「恋文」、火坂雅志「関寺小町」、澤田ふじ子「凶妻の絵」、山本周五郎「雨あがる」の5編。どの作品もよかったが、「雨あがる」が特によかった。2024/07/11
ケイプ
20
夫婦をテーマにした時代小説五篇を集めたアンソロジーです。夫婦の形はひとつではないですね。ふたりでそれぞれ築いていくものだと思いいました。池波正太郎さんの「夫婦の城」がよかったです。2016/09/29
がるっち
8
雨上がるだけ、よそで読んで、映画もみたことがあった。夫婦のいろんな形。夫婦ってほんと特別な付き合いだと思った。2014/08/23