出版社内容情報
日本で初めての、ほんものの味、ほんものの料理を追求した調理師専門学校の校長を主人公にして、食とは何かを描く究極の料理小説
内容説明
彼以前は西洋料理だった。彼がほんもののフランス料理をもたらした。その男、辻静雄の半生をえがく伝記小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
neimu
41
「料理界の東大に行く」というフレーズが今も記憶に残る。辻調理師学校を作り上げた男の物語。短く歯切れのよい、それこそ読むドラマ、淡々と無駄なく語られて展開する余計なものをそぎ落とした映像美にも似た文章、早く逝き過ぎた辻とそして海老沢と、今となっては両者を悼む作品になってしまったように思う。高度経済成長期の日本が、どのように食にもどん欲に取り組んできたか、畑違いの分野から出てきた男が、自分の健康を犠牲にして食べ歩き、そこから生まれたものが今の日本の贅沢な食を支えている。人と出会いと食と生きざま。描きとった男。
コロニ
3
Kindleの無料で読めるやつでゲット。思ってた美味礼賛とは違う本でしたが、抑制した描写が逆にそれぞれの料理を魅力的に伝えられていました。フランス料理、あんまり食べることないけど、いつかどこかで本物を。2019/05/09
ろーれる
2
どんな食材でもおいしい料理は出来るが、最高の食材で最高の料理を作ることにかけた執念は凄い。今のミシュラン3つ星が東京が世界一はこの人から始まったかも知れない。2011/05/02
みむら しんじ
1
文字通り「寝る間も惜しんで」512ページを読み終えた。辻静雄の人生は何のためにあったのかを引き込まれるように読みふけった。さすが名著の評価だけはある。「フランス人は、ほかの民族よりも、ただお腹が空いたから食べる人間と、味をよく噛みしめて楽しんで食べるという人間を厳重に区別することに、非常に熱意を燃やしている民族である」と言ったブリア・サリバンと同名の書である。出逢えて本当に感謝している。本気のおすすめだ。2018/01/01
ティパリン
1
辻静雄氏の、フランス料理をはじめ“本物”の料理にかける情熱は凄まじい。学校のためというが、本物を教えることにこだわり、そのためのお金は惜しまないという姿勢に脱帽。文章も読みやすく、面白かった。2011/10/02