内容説明
恋人のために、新しい部屋を探しはじめた中内希和は、一軒目に紹介された物件を一目見て気に入ってしまう。それは、風変わりな洋館だった。家賃五万円、赤みの強い錆色をした瓦屋根、動植物を象ったレリーフや幾何学模様のモザイクのある外壁、軒先飾りや破風飾り、フレンチウィンドーのテラス…。希和にとって最高の部屋に思えた。さっそく引っ越した希和は恋人を招き、幸せな時間を過ごそうとするのだが―。傑作サスペンス小説、待望の新装版。
著者等紹介
明野照葉[アケノテルハ]
東京生まれ。東京女子大学文理学部社会学科卒業。98年『雨女』で第37回オール讀物推理小説新人賞を受賞。2000年『輪廻』(文藝春秋)で第7回松本清張賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roomy
25
明野作品はこれで2作目ですが精神的にずしっときます。本当の形を見失ってしまうほど恋は強さでもあり弱さでもあるってことなのでしょうか。誰かが救われてもまだ続いていく。最後も怖かったですよ。先が気になって読んでしまうのですがすっきりはしないですね。2013/12/29
ヨーコ・オクダ
24
裏表紙には「サスペンス」てあったけど、この作品のゾクゾク感はホラーとちゃうんかな?住んだらアカん家に魅せられて引っ越してきた女子。当然いろんな「障り」が出て、見た目も人格も変わっていく。周囲の人間が指摘しても、もう完全にあっちの世界の悪いモノに取り込まれて聞く耳持たず。で、結局のところ、学生時代の仲良し3人娘のうちの1人がそっち系の血筋の人間で、件の貸家やそのオーナーの背景等を説きつつ、霊的な力で瀕死の友人を救ってやるんやけど…主人公はどっちなんかしら?取り憑かれた娘の描写のんが多いけど、微妙なところ。2021/05/31
Rey
24
本当は今月は重松清月間にしようかと思っていたのだけれども、前回読んだ「きみ去りしのち」がちょっとページが進まなかったので本書を手にした。読み始めてすぐの所、希和が部屋に魅入られたくだりで「何もかもがご機嫌だ」というあまりにも陳腐な表現に読むのをやめようかと思ったのだが割と面白かった(笑。基本、オカルトは全く信じてないのだけどエンターテイメントとしては好きで、この作品も楽しめた。まぁ、クライマックスが思ったより地味で都合良すぎでちょっと残念。もっとゾクゾクすると良かったなぁ。2013/12/28
マサキ@灯れ松明の火
15
恋人と過ごす時間が欲しい「希和」は、理想的な部屋を見つけて、引っ越しを決める……他の人から見ると…不気味な洋館……しかし、彼女の目には素敵な部屋にしか見えない……日に日に、やせ衰えていく「希和」……謎の大家「野添織枝」……闇が闇を呼ぶ…この部屋に魅入られた「希和」は、はたして助かるのか?闇の連鎖は……止まらない……2012/05/08
miwapicco
8
多分2度目、あまり覚えてなくて新鮮なー。サスペンス、と言うよりホラーですね(*´`) むっちゃお腹すいて貪り食べる様がリアル。やだやだ。2018/01/12