内容説明
母を亡くしながら健気に生きる少女キクの、“いま”という時をめぐる温かな物語「北風をみた子」をはじめ、子どもの意識に自然と入り込んでくる不思議な時空との出会いを描いた「海うさぎのきた日」「さよならのうた」など、東洋的ファンタジー全12篇を厳選。光を放つ透明な文章で綴られた名作アンソロジー。
著者等紹介
あまんきみこ[アマンキミコ]
1931年、旧満州に生まれる。本名、阿萬紀美子。日本女子大学児童学科(通信)在学中、与田準一に出会い児童文学の道に入る。坪田譲治主宰の「びわの実学校」に「くましんし」を投稿し、デビュー。『車のいろは空のいろ』で日本児童文学者協会新人賞、『こがねの舟』で旺文社児童文学賞、『おっこちゃんとタンタンうさぎ』で野間児童文芸賞、『だあれもいない?』でひろすけ童話賞、『ちいちゃんのかげおくり』で小学館文学賞、『ぽんぽん山の月』で絵本にっぽん賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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baba
24
一つ一つ不思議で心躍る話し、少しゾワァとする話し、そして「北風をみた子」キミちゃんの健気さには涙する場面まあるものの、心温まる話しでした。2016/01/18
qwer0987
9
現実とファンタジーの混じり合った作風という印象を受けた。個人的に好きなのは『さよならのうた』。死に近い祖父の子ども時代の姿と出会い共に遊ぶ。その体験を通しての祖父との別れはしんみりとさせられる。『ふしぎな森』もすてきだ。妹だけに見えるうしゃぎしゃんの世界を兄も垣間見る。その不可思議でほのぼのとした味わいが心地良い。他、子どもならではの罪悪感と子どもにしか見えない世界の描写が印象深い『かくれんぼ』、夢をつめこんだ赤いふうせんや離れた友だちと出会うエピソードが心に残る『北風をみた子』も楽しく読めた2024/02/17
帽子を編みます
7
いい本でした。寝る前に少しずつ読みたい本です。キクちゃんの連作が、しみじみしたいい話でじわーっとしました。2020/02/24
miohaha
5
仕事でお名前を耳にしていたところに、ほしおさなえさんの活版印刷三日月堂で朗読の題材として作品が紹介され、これは読むしかないと。目当ての作品は載っていませんでしたが、作品に引き込まれ、あっという間に読了。ご自身が子どもの頃に語り聞かされていた幅広いジャンルの物語が原点にあると、解説にありましたが、それもなるほど、研ぎ澄まされた文章で、余分な説明が全くないのに感動しました。やさしい話あり、不気味な話あり。方言のバリエーションもあって、一人の作品とは思えないほど。車のいろは空のいろも読んでみたくなりました。2017/04/29
ちゃん
4
「北風をみた子」に泣いた。小さな心で日々喜び、悲しむ子どもたちのけなげさが、とても愛おしい。2009/10/20