内容説明
二十四歳という若さでこの世を去った夭折の詩人・立原道造。室内楽にも似た、ソナチネ風の調べを運ぶ詩からあふれでる抒情の響きは、青春の光芒を永遠へと灼きつけ、時代を越えて今なお輝きを失わない。詩集『萱草に寄す』『暁と夕の詩』『優しき歌』『散歩詩集』など、その詩的世界を網羅する百三十篇余を収録した一冊。
目次
詩集『萱草に寄す』全篇
詩集『暁と夕の詩』全篇
詩集『優しき歌1』全篇
詩集『優しき歌2』全篇
手製詩集『さふらん』全篇
手製詩集『日曜日』より・手製詩集『散歩詩集』全篇・未刊詩集『田舎歌』より
拾遺詩篇・草稿
著者等紹介
立原道造[タチハラミチゾウ]
1914年、東京日本橋に生まれる。東京府立第三中学校、旧制第一高等学校を経て東京帝国大学工学部建築学科入学。一高時代より堀辰雄に兄事、大学入学後は堀の主宰する「四季」の編集同人となる。1937年、詩集『萱草に寄す』『暁と夕の詩』を出版。1939年2月、第1回中原中也賞を受賞するも、同年3月、24歳という若さで逝去
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感想・レビュー
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匠
126
初めて立原道造の詩に触れたのは小学生時代の参考書だったと思う。あらためて詩集を読むと、その純朴さ、透明感、爽やかさ、やさしい人柄を垣間見て、24歳という若さで亡くなられたことを惜しく思う。この方のもっとダークな詩や枯れた言葉なんかも読んでみたかった。短いながらずっと脳裏に焼きついているのは「長いまつげのかげ」「僕は」「昔の夢と思ひ出を」 ほんの4行ほどの中に奥行きを感じさせるドラマがある。きっとこれからも記憶に残り続け、僕は度々読みたくなるのだと思う。 2014/05/20
KAZOO
110
立原道造の手に入れた3冊の本の1冊です。やはり夭折したということで若い人の純粋な気持ちがこの詩にあらわれている感じがしました。私のような年寄りになるとどうしても若い頃の感じが思い出せなくなってしまいます。この文庫版は若い人向きになっているのですが非常に内容と合う感じがしました。2017/11/30
井月 奎(いづき けい)
31
神や自然の声は重なり木霊して、私には風の音、川のせせらぎとしか聞こえません。詩人はそれを言葉に、詩にします。詩とは形のないものに与えた形であろうと思うのです。やせっぽちの立原は病んだ胸をかえりみることなく詩作に命を捧げます。建築家でもある彼は形にこだわります。ソネット形式を得意とするのはその表れでしょう。天地の霊を言葉にする、不可能と思えることをやってのけた立原は、力を使い尽くしたのでしょう。早逝してしまいます。短い彼の人生はしかし、今でも輝きを失いません。彼の詩を読み解くのは私の大きな喜びなのです。2016/01/23
Gatsby
16
親父が若かりし頃大好きだった詩人の詩集を読んだ。私も若いころ読んだことがあったが、当時は甘すぎてなぜか好きになれなかった。歳をとって逆にそれも受け入れられるようになったのか、気に入った詩を何度も音読してみた。わたしは、卒論も19世紀小説だったし、あまり詩に対する理解が深いとは思わないが、言葉の美しさとともに、読んだ時の音の美しさにも惹かれる。歳をとると、食べ物の好みも変わるが、書物に対する好みや捉え方も変わってくるようだ。2010/12/19
佐島楓
15
明るい朝のさわやかな空気と青空、夜に沈む眠りの中での孤独、ふたつのコントラスト。さびしく綺麗な世界。2012/09/07