内容説明
「一日だけ、儂を晦まして欲しい」―飴売りの仕事を終え、日本橋の波積屋で鮃の昆布締めと肝を肴に一杯やっていた平九郎の元に、口入れ屋の坊次郎が訪ねてきた。幕府御庭番の曽和一鉄という男が、くらまし屋に仕事を依頼したいと話を持ちこんできたという。なんと依頼主は、老中松平武元―。虚、御庭番、道中奉行…次々とすご腕の遣い手が現れる中、くらまし屋は、殿さまの命をかけた想いをかなえることができるのか!?続々重版の大人気シリーズ第五弾、益々絶好調。
著者等紹介
今村翔吾[イマムラショウゴ]
1984年京都府生まれ。「狐の城」で第23回九州さが大衆文学賞大賞・笹沢左保賞を受賞。デビュー作『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』(祥伝社文庫)で2018年、第7回歴史時代作家クラブ・文庫書き下ろし新人賞を受賞。同年、「童神」で第10回角川春樹小説賞を受賞。「童神」は『童の神』と改題し単行本として刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しんごろ
356
今村翔吾さん、やってくれるぜ!続きが気になって気になって、しょうがないじゃないか。今回、いつもと違うパターンのくらませ方。政も絡んできたよ。仲間とまではいかないけども、共同戦線で平九郞と共に戦える腕の立つ者も現れたし、「虚」との死闘はまもなくかな。あと気になるのは出番が少ない「炙り屋」の万木迅十郎。こいつは、なんかやらかしそうだ。ああ、早く続きが読みたいよ。2019/08/31
W-G
344
尻上がりに面白くなってきている印象。最初は、ちょい役かと思っていた篠崎が、どんどん鋭さを増して格好良くなってきている。この先も、この関係性が続くのか、何か大きな展開があるのか、楽しみなところ。今回はかなり大掛かりな依頼で、それ自体も見所じゅうぶんではある。そこに虚を絡ませるやり方が、本当に読者のツボを突いていて、上手いなと感じいってしまう。阿久多がかなり好きなキャラになってきた。まだ登場していない九鬼も含め、それぞれとどういう決着をつけていくのか。阿久多などは、途中で味方につきそうな気配も感じる。2022/07/13
海猫
279
くらまし屋稼業シリーズ第5弾。裏稼業の掟はあるにしても柔軟に展開するので先が読めず、今回も面白い。一日だけ晦まして欲しい、という依頼も変わっているがその理由もなかなかに哀切でロマンティック。老中を晦ますだけあって困難な状況ではあるが不可能に挑む大胆な作戦が読ませる。また本筋とともに虚一味や御庭番との暗闘が進行しているのも緊張感が続く。今後の展開を予感させる終章もあって、早くも続きが読みたい。タイトルが春夏秋冬と季節を一巡りしたので、次巻以降どうするのか?それも気になります。2019/08/10
しんたろー
234
幕府の大物老中・松平武元の願いで依頼を請けた平九郎たち「くらまし屋」が、一鉄を筆頭とする御庭番、瀬兵衛が率いる道中奉行ら、男吏&阿久多「虚」の二人、それぞれの想いと命を懸けた闘いが火花を散らす!…と書くと、単なるアクション時代劇みたいだが、シリーズならではの人情、葛藤、矜持が描かれていて、胸が熱くなることが多かった。終盤の父娘の再会は「ベタの良さ」を簡潔かつ最大限に活かした名シーンで泣けた。『ぼろ鳶』より若い頃の田沼意次も登場して嬉しかったし、平九郎を取り巻く人間関係が構築されて今後が更に楽しみになった♬2020/01/31
KAZOO
200
この巻では老中の一人から一日だけの「くらまし」を頼まれます。一日だけというのは「くらまし屋」の原則から外れるわけですが、主人公が老中本人に会って結局引き受けることになります。今回は御庭番や本当は手練れの道中奉行などがからんでの話でそこにさらに「虚」も出てきます。くらまし屋の女性の素性はひょんなことから明らかにもなります。また田沼意次がいい役で出てきたりします。今後はくらまし屋に御庭番も入っての幅広い活躍になるのでしょう。2022/11/25