内容説明
「日出ずるところの天子、日没するところの天子に書を致す」―大業三年(六〇七)、遣隋使として隋国皇帝・煬帝に謁見した小野妹子は我が目を疑った。中国を支配し絶対的勢力を誇る王に対し、このような物言いで国書を送るとは。日本中火の海にされても文句は言えないではないか。こんなことをしたのは、あいつ、厩戸皇子すなわち聖徳太子だ。一体どういうつもりなのか?…大帝国の長として権勢並ぶ者なき煬帝に、聖徳太子が戦いを挑む!第二回小松左京賞受賞作家が新たな視点で描く激動のハイパー歴史アクション、書き下ろしで堂々登場。
著者等紹介
町井登志夫[マチイトシオ]
1964年生まれ。南山大学教育学部卒業。1996年、『電脳のイヴ』で講談社第3回ホワイトハート優秀賞を受賞。2001年、『今池電波聖ゴミマリア』で第2回小松左京賞を受賞。井上雅彦氏編纂による「異形コレクションシリーズ」にも精力的に作品を発表している。また、『諸葛孔明対卑弥呼』では、新鮮なアイデアと大胆なストーリーによる架空古代戦記に新境地を開いた
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感想・レビュー
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とも
33
★★★☆あるいみ、トンでもでとことんバカバカしいともいえるエンターテインメントな古代日本史。軽い気持ち愉しく読むのならおすすめ。主人公は実際は小野妹子の生涯だが、表題を聖徳太子としているのは、単に商業的と推察する。しかし、意味のなさそうな爆撃については驚くなかれ きっちりと筋が通っているのが驚き。時代は同じだが歴史上で直接が接点が見つけられない2人を無理やりつなげたところと、通常に伝わるスーパーマンで聖人君子の聖徳太子像と作品で奇態さのギャップがつながるところに、とんでもでありながら愉しめる作品といえる。2020/05/24
hiro
9
変人で天才な聖徳太子と、凡人で真面目な家族を愛する男、小野妹子のお話。歴史苦手、戦争モノも嫌い、なのだけど聖徳太子のあまりの変人ぷりで楽しく読んだ。2017/11/07
蒼
8
何年か前に「ギャグマンガ日和」にハマっていた時期があって、その頃に読んだ本。それ抜きにしても面白かった記憶があるので、また読み直したいなぁ。歴史は苦手だけど、なるほどこうやって歴史ネタを組み込むのか!と驚きながら読んでた気がする。太子も妹子もいいキャラなんだ!2018/08/21
てっしー
7
なんなんだこれは?虚実ないまぜの(ってか殆ど大嘘の?)何とも破天荒な聖徳太子物語。何せ、爆撃するんです。太子が。空から。んでも、大法螺もここまで徹底していると清々しい。数々の伝承を重ね合わせると意外とこんな人物かも?ただね、戦闘シーンが多過ぎて途中でうんざりしていまいます。軍略家としての太子の姿もいいが、もう少し政治・経済的な面での彼の姿を見たかった。実質的主人公の(推理小説ならワトソン役の)小野妹子の終盤の台詞が図らずも私の感想を言い当てている。「また戦うのか、いつまで戦うのか」(p.433)2013/05/17
Meistersinger
6
聖徳太子は榎木津礼二郎だったのかw(視覚が記憶に残らないとか)。最後の中国爆撃の惨状を「結局、人は自分に親しいものしか愛せない」と締めくくり、世界平和を唱えた煬帝の無惨な死に方と対比させている。小野妹子の視点から描かれているが、その地の文に「今の時代(21世紀)」「朝鮮語・中国語」とかメタっぽい記述が入るのは意図的なものとしても、どうだろう?その割には単位系は「丈」とかで現代人にはわかりにくい。まあ楽しめましたが。2012/07/01