出版社内容情報
これまでどんな厄介な頼みも解決してきたお頭・才蔵が、お初に助力を乞うてきたのは、たやすく割のいい仕事と請け負った、米問屋「御蔵屋」の出戻り娘・お藍のための新たな嫁入り先探しだった。
なぜ簡単そうに見える件で才蔵がてこずっているのか。
米を扱う大店仲間の「吉井屋」から二年足らずで戻ってきたお藍は、今は実家で幸せだと言いつつ、ふさぎ込み、なにか怯えている様子だという。
お初はさっそく動き出し……。
親子・夫婦の情愛、怨恨──女着物に身を包んだ〈えにし屋〉お初が手繰りよせる若夫婦離縁の真相とは。
結ぶも断ち切るも商いのうち。
〈えにし屋春秋〉シリーズ待望の第三作!
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
127
えにし屋シリーズ第3弾!ちょっと待って、第2弾の記憶がない(ガーン!汗)今回は切れたかと思えた若夫婦の縁を繋ぐお初・才蔵のえにし屋の働きを、いつもながらあさの作家の筆致に唸る。なんて言うんだろ・・心理・推理の巧みさは弥勒シリーズの彼らを彷彿とさせる感じ。あそこまでのヒリヒリ感は無いにしても、擽られてしまうのだ。裏で蠢く過去の事件を暴くまでのジリジリ感・・それに出会いたくてまた次も読むに決まってる。2025/08/17
タイ子
70
えにし屋にとってそれは難しくない縁談の一つだった。が、どこかに胡散臭さを感じた才蔵が珍しくお初に助けを求めて来た。米問屋の一人娘・お藍の再婚先を探してくれとの依頼。元嫁ぎ先は同じ米問屋、何があって離縁したの今か、元夫婦に何があったのか。七変化のお初の張り込み先は元婚家が見える甘酒屋。私も徳利に入れて持ち帰りたくなる位美味しそう。そして、お藍のお付きの女中が殺されるという事件が起こる。探るほどに見えて来る歪な家族。落着させるまでの面白さこそあさのワールド。鬼が人のフリをしても化けの皮はいつかはがれるもの。2025/09/28
itica
63
シリーズ3。別れても尚、夫を思い続ける女。男も妻の幸せを願う。では何故ふたりは離縁したのか。女の再婚先を親から請け負った「えにし屋」は、図らずも深い闇に足を踏み入れることになる。不穏な空気ともやもやを終盤まで引っ張った割には、最後があっけなかったように思う。しかし初の妖艶な魔力?が今回も遺憾なく発揮されていた。仲間と家族のように接する穏やかな面と、殺気を感じ取る鋭い勘。このギャップが何とも魅力的。 2025/08/21
はにこ
58
離縁して出戻った娘に新しい縁をという依頼。娘の気持ちを前に向かせるのかなと思ったら、元婚家に秘密が。そして元婚家の前の甘酒屋も関わりが。よくお初はこんな謎を解き明かせるな。凶悪な過去の事件まで解き明かす。拗れた縁を上手く結び直したね。前作を読んでいるんだけど、記憶がほとんど無い。過去作もまた読まなきゃなぁ。2025/09/18
がらくたどん
57
「えにし屋」店主才蔵が受けた依頼は大店同士の結婚から出戻って以来頑なに引籠る娘を案じる父親からの再婚相手探し。娘の元来の人柄も良く実家も堅実。久々に表看板通りの楽な仕事と思いきや、婚家とのトラブルもない上に元夫の事は今も思慕する様子なのに何かに怯えて閉じこもるそんな娘の真意が見えない。こうなったらお初姐さんの出番と婚家近くの甘酒屋で聞き込みを始めるが・・。過去の恨みを堅く覆った瘡蓋が剥がれるように滲み出す血膿と呻き声。序盤から張り巡らせたヒントで事件の絵図は徐々に浮かぶが、見せ場はその収め処。苦く明るい♪2025/09/04
-
- 和書
- 近松全集 〈第16巻〉