出版社内容情報
これまでどんな厄介な頼みも解決してきたお頭・才蔵が、お初に助力を乞うてきたのは、たやすく割のいい仕事と請け負った、米問屋「御蔵屋」の出戻り娘・お藍のための新たな嫁入り先探しだった。
なぜ簡単そうに見える件で才蔵がてこずっているのか。
米を扱う大店仲間の「吉井屋」から二年足らずで戻ってきたお藍は、今は実家で幸せだと言いつつ、ふさぎ込み、なにか怯えている様子だという。
お初はさっそく動き出し……。
親子・夫婦の情愛、怨恨──女着物に身を包んだ〈えにし屋〉お初が手繰りよせる若夫婦離縁の真相とは。
結ぶも断ち切るも商いのうち。
〈えにし屋春秋〉シリーズ待望の第三作!
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
129
えにし屋シリーズ第3弾!ちょっと待って、第2弾の記憶がない(ガーン!汗)今回は切れたかと思えた若夫婦の縁を繋ぐお初・才蔵のえにし屋の働きを、いつもながらあさの作家の筆致に唸る。なんて言うんだろ・・心理・推理の巧みさは弥勒シリーズの彼らを彷彿とさせる感じ。あそこまでのヒリヒリ感は無いにしても、擽られてしまうのだ。裏で蠢く過去の事件を暴くまでのジリジリ感・・それに出会いたくてまた次も読むに決まってる。2025/08/17
タイ子
82
えにし屋にとってそれは難しくない縁談の一つだった。が、どこかに胡散臭さを感じた才蔵が珍しくお初に助けを求めて来た。米問屋の一人娘・お藍の再婚先を探してくれとの依頼。元嫁ぎ先は同じ米問屋、何があって離縁したの今か、元夫婦に何があったのか。七変化のお初の張り込み先は元婚家が見える甘酒屋。私も徳利に入れて持ち帰りたくなる位美味しそう。そして、お藍のお付きの女中が殺されるという事件が起こる。探るほどに見えて来る歪な家族。落着させるまでの面白さこそあさのワールド。鬼が人のフリをしても化けの皮はいつかはがれるもの。2025/09/28
はにこ
67
離縁して出戻った娘に新しい縁をという依頼。娘の気持ちを前に向かせるのかなと思ったら、元婚家に秘密が。そして元婚家の前の甘酒屋も関わりが。よくお初はこんな謎を解き明かせるな。凶悪な過去の事件まで解き明かす。拗れた縁を上手く結び直したね。前作を読んでいるんだけど、記憶がほとんど無い。過去作もまた読まなきゃなぁ。2025/09/18
itica
66
シリーズ3。別れても尚、夫を思い続ける女。男も妻の幸せを願う。では何故ふたりは離縁したのか。女の再婚先を親から請け負った「えにし屋」は、図らずも深い闇に足を踏み入れることになる。不穏な空気ともやもやを終盤まで引っ張った割には、最後があっけなかったように思う。しかし初の妖艶な魔力?が今回も遺憾なく発揮されていた。仲間と家族のように接する穏やかな面と、殺気を感じ取る鋭い勘。このギャップが何とも魅力的。 2025/08/21
じいじ
65
10年ほど前に『花宴』を読んで、あさの時代小説のファンになった。これが八作目。ところどころで顔を出す、著者の厳しい本音の一言が好いですね。さて、主人公は、浅草寺傍で、人の縁〈えにし〉を生業とする「えにし屋」を営む才蔵と初。煙草嫌いな初の魅力は、歯切れと気風の良さ。才蔵が岡っ引き稼業で、手薄になった「えにし屋」をしっかり支えます。そこへ事件発生。大店に嫁いだ娘が、突然の縁談破棄で帰って来ます。初はこれには、重大な裏事情が…? そして物語は佳境に…。あさのあつこの小説は、本筋がしっかりしているので面白いです。2025/11/01
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