内容説明
早朝のテレビ番組でお天気姉さんをしている寿々は、下町で祖母とのふたり暮らしをのんびり愉しんでいた。そんな彼女が江戸まちめぐりというブログを開設することになり―「江戸の味」を求めて、おばあちゃんと幼馴染みの寛太と共に、浅草、日本橋、神田、築地へ…。寿々は、料理も街も人も、時間がずーっとつながっていることを知り、日々の暮らしと人生の愛しさを感じるのだった。
著者等紹介
藤野千夜[フジノチヤ]
1962年福岡県生れ。千葉大学教育学部卒業。1995年「午後の時間割」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。1998年『おしゃべり怪談』で野間文芸新人賞、2000年「夏の約束」で芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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れみ
165
お天気お姉さんの寿々が江戸時代から続く場所を訪れたり美味しいものを食べたり一緒に暮らすおばあちゃんとあちこち出かけたりするお話。恋愛に発展しそうなのかなあという要素はありつつも、どちらかというと、寿々が周りの人たちと楽しい時間を過ごすような部分が仕事にも繋がっていく…という部分の方がたくさん書かれている気がした。新しい物好きなおばあちゃんはどんどん新しいことも覚えちゃうし作るごはんやおやつがみんな美味しそうだし…素敵すぎる。2016/12/31
あすなろ
115
江戸前の味がしっくりくる孫娘と、iPadを使いこなす江戸っ子の愛らしい祖母が繰り広げる江戸の味巡りストーリー。イヤー、お腹空いて堪らない。作中に出てくるとおり、江戸時代に出稼ぎ独身男性多く、屋台の外食多く、将軍のお膝元という相乗効果で独自食文化が出来たのだろう。大好きな鮨と江戸前の天ぷら、特に雷かき揚げが食べたくて仕方ない。昼飯、何にしょうか?(笑)2016/04/03
R
114
何も起こらない、起こりそうでなんてことはない、そんな物語でした。江戸文化というか、江戸食文化について勉強や、お仕事や、まつわるものが増えてくるお天気お姉さんである主人公の日常を描きながら、仕事ぶり、人間関係、そしておいしい食べ物といったものの描写が続いて、ふわっとした小説が楽しめる一冊でした。2018/04/02
ひさか
100
2016年1月刊。江戸の味を探す、仕事女子の現代人情話。てっきり時代物かと思って読みはじめました。軽いノリのお話で、心に残るもの少なかったです。めぐりあうたべものの扱いが、素敵で、好感が持てました。2016/03/28
なゆ
92
どう見ても美味しそうな話のようだったので。朝の情報番組でお天気おねえさんをやってる寿々が、「江戸まちめぐり」というブログをはじめることになり、江戸から続く美味しいものを探して…という感じなのだが。確かに美味しそうなものもいろいろ出てくるんだけど、なんだか全体的に薄味な気がして。なんだろう、嫌な人がいないせいか、寿々のキャラが掴みにくいせいか…。どちらかというと同居のおばあちゃんと、作ってくれるおやつの方が魅力的な気も。ほっこりとはするけれど、なんだか印象に残りにくいんだなぁ、とモヤモヤ。 2016/06/19