出版社内容情報
ミステリー界の大家・横溝正史が選んだ、日本の名探偵が活躍する短篇9篇のアンソロジー【戦前篇】。探偵イラスト&人物紹介つき。
内容説明
三河町の半七、明智小五郎、釘抜藤吉、帆村荘六、むっつり右門、法水麟太郎、大心池先生、仙波顎十郎、人形佐七。ミステリー界の大家・横溝正史が選んだ、日本の名探偵が活躍する短篇を収めた傑作アンソロジー“戦前篇”。日本ミステリー史上に輝く九人の探偵たちの活躍に胸おどる一冊。各探偵のイラストと人物紹介も収録。
著者等紹介
横溝正史[ヨコミゾセイシ]
1902(明治35)年、神戸市生まれ。大正期より執筆活動を始め、伝説の雑誌「新青年」編集長として江戸川乱歩に名作『陰獣』を発表させるなど編集者としても活躍。1932年に作家専業となる。戦後まもなく傑作長篇『本陣殺人事件』『蝶々殺人事件』を発表、前者で第1回探偵作家クラブ賞(現・日本推理作家協会賞)を受賞する。金田一耕助を探偵役とする名作群で、探偵小説界の第一人者としての地位を不動のものにした。1981(昭和56)年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
69
巨匠が選ぶ戦前活躍した名探偵のアンソロジー。今の目から見るとトリック的に物足りない作品も多いけど、それでもその時代の雰囲気と各名探偵の活躍を十全に味わう事が出来る。ただ収録作は昭和の作品から選ばれているので、普段アンソロジーに採られない怪作も見受けられる。特に海野十三の「点眼器殺人事件」ラストで種が明かされる時はいつも茫然とさせられる。何?このオチ。ただ他は明智小五郎の知られざる名品「何者」や佐吉、顎十郎の活躍、今まで読む機会の無かった釘抜藤吉やむっつり右門を楽しむ事が出来る良いアンソロジーでした。2022/07/01
鯖
17
横溝が選ぶ戦前日本の名探偵。…なんか自白のさせ方が圧迫面接なやつばっかで、まあ江戸時代の奉行所なんか拷問当たり前だからしょうがないんだけど、…いい時代になったなあ。再読だけど、幽霊船マリーセレスト号をモチーフにした久生十蘭の顎十郎シリーズ「遠島船」がやっぱりめっちゃ面白かったです。2022/08/13
だるま
17
横溝正史が日本の名探偵を18人選び、彼らが活躍する代表的な短編を収録したムック本『日本の名探偵』(絶版)を、戦前と戦後の2分冊にした内の、これが戦前篇。作品の選択には横溝は一切関わっていないし、この文庫本化で変更されている作品もある。だから横溝を編者にしているのは正確では無いが、ネームバリューでこのタイトルにしたのだろう。でも内容は良かった。戦前だから捕物帖が多い中、乱歩の数少ない犯人当て小説『何者』や、海野十三の呆れるしかない珍作『点眼器殺人事件』が読めたのが収穫。小栗虫太郎は短編でも意味分からんな。 2022/07/18
Inzaghico
9
第二次世界大戦前に雑誌等で発表された作品が並ぶ。作品の設定は江戸時代のものも多く、探偵小説というよりは捕物帖と銘打つほうがふさわしいような作品も。野村胡堂の銭形平次、横溝正史の人形佐七、岡本綺堂の三河町の半七など、きれのいいセリフとフットワークが軽い親分に子分と、読んでいてもリズムのいい足音や息遣いが聞こえてきそう。2022/06/20
私的読書メモ3328
4
表題通りのアンソロジー。古き良き時代というか、牧歌的というか。今では心を広くして読まないと、堪えられないだろうものが多いです。「三つの声」三河町の半七:シンプルにまとまって佳作と言えます。「何者」明智小五郎:解説にもある通り、確かに乱歩らしさがないぐらい、乱歩先生こんな普通のミステリ書けたんだ、という出来。ただ、海外ミステリからの借用が大きいとのこと。「宙に浮く屍骸」釘抜藤吉:解説でも突っ込まれている通り、トリックのためのトリックで話としての整合性には難あり。トリック自体は面白いのですが。2022/07/30