内容説明
造花の蜜はどんな妖しい香りを放つのだろうか…その二月末日に発生した誘拐事件で、香奈子が一番大きな恐怖に駆られたのは、それより数十分前、八王子に向かう車の中で事件を察知した瞬間でもなければ、二時間後犯人からの最初の連絡を家の電話で受けとった時でもなく、幼稚園の玄関前で担任の高橋がこう言いだした瞬間だった。高橋は開き直ったような落ち着いた声で、「だって、私、お母さんに…あなたにちゃんと圭太クン渡したじゃないですか」。それは、この誘拐事件のほんの序幕にすぎなかった―。
著者等紹介
連城三紀彦[レンジョウミキヒコ]
1948年愛知県生まれ。78年『変調二人羽織』で幻影城新人賞を受賞。81年『戻り川心中』で日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。84年には『宵待草夜情』で吉川英治文学新人賞を、『恋文』で直木賞を受賞した。96年『隠れ菊』で柴田錬三郎賞を受賞。ミステリー、恋愛、ホラー小説など多彩な作品を発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takaC
70
しばし絶句。読んだ人しか共感できないであろう虚無感。2011/12/07
nyanco
48
犯人の真意が解ると、ほ~と思うのですが評判になっているほどには面白さを感じなかった。タイトルに固執し過ぎているのか「胡蝶蘭」「蜜」「蜂」といったキーワードに拘っているが、物語を魅力的なものにはしておらず、無理やりなこじつけに感じてしまった。汚れた金を盗むことで浄化すると思い込んでいる犯人に残念ながら魅力を全く感じない。犯人に対してアッパレ感やワクワク感があれば、最後の話も楽しめたと思います。何だか不完全燃焼で楽しめなかったのが残念です。2010/02/01
PSV
47
いやぁ、長い。でも面白い。誘拐ものって、後半尻すぼみになる感はあるんだけど、本作もその例にもれず、若干の尻すぼみにオレ涙目。…まあ、それは言いすぎだけど、読んでる間中は楽しめたし、結末も、許せない範囲ではないし、全体的には良くできた作品ではないのでしょうか、ね。 ★★★☆☆ もっと騙された感が欲しかった。2012/05/22
みえ
46
誘拐事件の話なんだけど、最初はいいペースで読んでたんだけど、なんだか何がホントで何が嘘か?読んでて疲れた。2019/05/27
さっとる◎
46
【そして何故かいなくなった祭】連城作品はやっぱり大人の香りがするなあ。全然直球でこない。「…」裏を匂わせる余白が醸し出す雰囲気ある文体と、いいように相手を手玉に取り翻弄する先の見えないミステリ。中盤以降のあの展開には度肝抜かれた(笑)。誘拐ミステリってこんなこともできるのか!と、誘拐ミステリの可能性(?笑)を感じた。色々回りくどいのだけど、着地点が気になり一気読みでした(*^^*)2016/09/19