内容説明
発生・再生、癌、老化、遺伝などの生命現象は、細胞の個性を確立・維持・消去することでなされている。そこでは、同じゲノムをもつ細胞が異なる細胞に変化する。その変化はゲノムとクロマチンに記憶される。選択的な遺伝子発現が細胞個性をつくり、次の世代に遺伝情報が伝えられる。これらはエピジェネティックな制御を基礎としている。また、エピジェネティクスの制御異常はさまざまな細胞病態を引き起こすために、ヒト疾患発症の分子機構、診断・治療に資すると大きく期待されている。本書では、医学・生命科学との結びつきに重点を置いた「エピジェネティクス医科学」を提唱する。6章に分け、最新の情報を集約する。
目次
第1章 エピジェネティクスの制御システム
第2章 ヒストン等のタンパク質修飾
第3章 染色体と細胞核構造
第4章 生命現象との関わり
第5章 エピジェネティクスと疾患
第6章 最新の解析ストラテジーとエピジェネティクス創薬
著者等紹介
中尾光善[ナカオミツヨシ]
熊本大学発生医学研究センター再建医学部門器官制御分野・教授。2006年より同センター長。島根医科大学医学部卒業、久留米大学大学院医学研究科、ベイラー医科大学ハワードヒューズ医学研究所、熊本大学医学部を経て現職。医学博士。専門はエピジェネティクス、細胞核、発生・再生、癌の研究
塩田邦郎[シオタクニオ]
1979年東京大学大学院農学系研究科獣医学専門課程博士課程修了、農学博士、’87年まで武田薬品工業株式会社(中央研究所)に勤務、東京大学大学院助教授を経て、’98年から教授。順天堂大学環境医学研究所客員教授
牛島俊和[ウシジマトシカズ]
1986年東京大学医学部卒業。臨床研修、血液内科を経て、’89年から国立がんセンター発がん研究部、1999年から同部長。化学発がんの研究に従事した後、’95年頃からエピジェネティックな発がん機構の研究を開始し、’97年にはゲノム網羅的なDNAメチル化変化の解析法を発表した。がん抑制遺伝子の同定、DNAメチル化異常の診断的応用、DNAメチル化異常の誘発機構の研究を精力的に行っている
佐々木裕之[ササキヒロユキ]
1982年九州大学医学部卒。内科を経て、’87年同大大学院修了(医学博士)。九州大学遺伝情報実験施設助手、助教授を経て、’98年より現職(情報・システム研究機構国立遺伝学研究所人類遺伝研究部門・教授、総合研究大学院大学・教授に併任)。この間、’90年から3年間英国CambridgeのAzim Surani教授のもとに留学。ずっとゲノムインプリンティングの機構を中心に哺乳類のエピジェネティクスを研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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