内容説明
小説の魔術師、久生十蘭。十蘭の作品群は多様な文体、巧緻な構成といった小説技巧の面で高く評価されてきた。しかしながら、十蘭の作品世界についての網羅的かつ具体的な研究は未だ乏しいのが現状である。本書は、十蘭作品に頻出するモチーフを切り口として、その作品世界を明らめるものである。新資料を含む十蘭の創作全268作品を網羅的に調査・分析し、そこで得られた知見をもとに作品分析を行う。
目次
第1章 久生十蘭作品群における“霧”モチーフ
第2章 久生十蘭作品群における“二重性”モチーフ
第3章 久生十蘭「鶴鍋」(「西林図」)論―敗戦と見立て
第4章 久生十蘭「予言」論―二重化された語り
第5章 久生十蘭「母子像」論―“二重性”モチーフと第二回世界短編小説コンクールにおける翻訳の問題
第6章 久生十蘭「湖畔」論―合理と非合理の「幻想文学」
補論 新資料・三澄半造名義の久生十蘭作品六篇について
著者等紹介
開信介[ヒラキシンスケ]
1980年、京都府生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。現在、三重大学人文学部特任講師。専攻は日本近現代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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