内容説明
ノーベル文学賞候補にも上り、昭和文学を代表する作家の一人であった井上靖。習作期から最晩年まで井上靖のほぼすべての代表作を取り上げ、その文学全容の解明を目指す。従来の井上靖論には見られない幅広く実証性の高い考察とともに、貴重な資料篇を備え、研究史上に新生面を拓く画期的な一冊である。創作資料と小説本文の実証的な比較検証を重視し、作家の創作方法に迫った作品論を展開。第一章では習作期および文壇登場期の作品、第二章では「氷壁」など代表的な現代小説、第三章では「天平の甍」など主要な歴史小説・時代小説を論ずる。さらに第四章では井上靖が現代作家・宮本輝に与えた影響や、国語教材としての井上靖作品について分析を進め、文学史と国語教育の両面から井上靖文学の位置付けを試みる。未発表草稿2点(探偵小説「溟濛の吹雪に」・舞踊劇脚本「村はずれ」)掲載。
目次
第1章 井上靖文学の出発(文壇登場;習作期における井上靖文学)
第2章 現代小説の展開(井上靖文学における大衆性―「氷壁」に描かれた遭難を通して;「聖者」論―イシク・クル湖伝説と現代 ほか)
第3章 歴史小説の世界(学術志向と勇敢な生;歴史に託す父子関係 ほか)
第4章 井上靖文学の位置(現代文学史上における井上靖―宮本輝へ与えた影響について;国語教育における井上靖文学―詩「出発」授業試案)
資料篇 井上靖未発表作品(未発表探偵小説「溟濛の吹雪に」;未発表舞踊劇脚本「村はずれ」)
著者等紹介
高木伸幸[タカギノブユキ]
昭和41年12月17日、埼玉県生。平成12年3月、広島大学大学院文学研究科博士課程後期修了。ラ・サール中学校・高等学校教諭を経て、平成21年4月、別府大学准教授、平成26年4月、別府大学教授(現職)。博士(文学)。井上靖研究会会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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