出版社内容情報
説経の魅力を伝える待望の書。海外の貴重な資料も掲載、国文学・歴史学・民俗学・宗教学など多方面に最高の知見を結集し、論じる。説経は闇夜を行くが如き境涯に於いても一筋の光明が差し込むことを教え説く物語であり、さんせう大夫、をぐり、かるかや等がある。本書はその魅力を最高の知見を結集して解きほぐし、別次元に押上げた待望の書である。
口絵 『せつきやうおくり』/『さんせう太夫物語』
序論 語り物としての説経―栄華循環の神仏利生譚― 阪口弘之
第1章 説経の成立
1節 説教から説経へ─西大寺流律僧の説話世界を軸に─
小林直樹
2節 『直談因縁集』所収説話と説経 小林健二
3節 慶長六年の「操説経興行」と慶長三年の遺跡出土かしらをめぐって 加納克己
4節 絵画化された説経―絵巻・奈良絵本のさまざま― 川崎剛志
第2章 説経作品の諸相―道を行く物語
1節 「かるかや」の物語―「高野巻」と四国の弘法大師伝承との関係 武田和昭
2節 「さんせう太夫」の物語―膚の守の地蔵菩薩と系図の巻物― 井上勝志
3節 「をぐり」の物語―十王由来譚― 川端咲子
4節 説経正本「松浦長者」の成立 阪口弘之
第3章 説経の周縁
1節 説教者と身分的周縁 塚田 孝
2節 『信太妻』という語り物―狐と文殊が託したもの― 林久美子
3節 越前大野城下の座頭と瞽女 マーレン・A・エーラス
4節 真宗寺院における教化の諸相―「絵解」の成立― 沙加戸弘
付録(翻刻紹介)
ドイツ・フランクフルト市立工芸美術館蔵フォーレッチ・コレションの奈良絵本群について ベルント・イォハン・イェッセ
1 フォーレッチ本「さよひめ」 カティア・トリプレット
2 『しゆつせ物語』解題・翻刻 粂汐里
結語 川森博司
神戸女子大学古典芸能研究センター[コウベジョシダイガクコテンゲイノウケンキュウセンター]
内容説明
闇夜を行く境涯にも、やがて一条の光明が訪れる。「救い救われる」説経の物語は日本人の心情を捉えて離さない。その説経の魅力を生成論の立場から、国文学・歴史学・民俗学・宗教学など多方面の最高の知見を結集し、研究水準を別次元に押し上げた画期的な研究成果。
目次
序論 語り物としての説経―栄華循環の神仏利生譚
第1章 説経の成立(説教から説経へ―西大寺流律僧の説話世界を軸に;『直談因縁集』所収説話と説経;慶長六年の「操説経興行」と慶長三年の遺跡出土かしらをめぐって;絵画化された説経―絵巻・奈良絵本のさまざま)
第2章 説経作品の諸相―道を行く物語(「かるかや」の物語―「高野巻」と四国の弘法大師伝承との関係;「さんせう太夫」の物語―膚の守の地蔵菩薩と系図の巻物;「をぐり」の物語―十王由来譚;説経正本「松浦長者」の成立)
第3章 説経の周縁(説教者と身分的周縁;『信太妻』という語り物―狐と文殊が託したもの;越前大野城下の座頭と瞽女;真宗寺院における教化の諸相―「絵解」の成立)
付録(翻刻紹介) ドイツ・フランクフルト市立工芸美術館蔵フォーレッチ・コレクションの奈良絵本群について
結語