内容説明
鋼と火だけを相手に、人生の大半を過ごしてきた鍛冶職人、六郎の前に現れたのは澄んだ瞳をした少年だった。少年の思いがけない申し出に、六郎は…。静かな感動をよぶ、珠玉の少年小説。
著者等紹介
伊集院静[イジュウインシズカ]
1950年、山口県生まれ。立教大学文学部卒業。作品に『乳房』(第12回吉川英治文学新人賞)、『受け月』(第107回直木賞)、『機関車先生』(第7回柴田錬三郎賞)、『ごろごろ』(第36回吉川英治文学賞)、『ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石』(第18回司馬遼太郎賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
199
伊集院 静は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者の少年小説は、初読です。少年時代から熱い志を持って生きれば、問題なしです。ところで日本製鉄の大赤字は、誰の責任でしょうか? http://www.asunaroshobo.co.jp/home/search/info.php?isbn=97847515294542020/02/19
昼寝ねこ
115
伊集院静さんの心温まる短編。昭和二十年代に鍛冶の親方の元で修行して一人前の鍛冶職人になりたいと願った少年が、長じて実業界で鉄の番人として尊敬されるような立派な人物になる。短い話ながら心に染み入る。絵本風になっていて挿絵は木内達朗氏。物語の雰囲気にマッチしていてとても良い。ジャンルは少し違うが以前に読んだ劉慈欣さんの『火守』を彷彿とさせた。挿絵が少なかったので、もう少し増やせばもっといいのにと思った。2025/03/01
chimako
91
伊集院氏が得意とする少年の話。職人の矜持と少年の純粋な憧れ。美しい眼差し。エピローグの様に語られる平成の時に胸がつまり思わず涙がこぼれた。大切なものを教わるのは学校や塾だけではない。真の大人の行いや言葉がその人となりを形成することもある。この三月に伊集院氏が日本経済新聞に寄稿した記事の中に新社会人に向けたメッセージがあった。その一節に「偶然は神様の采配である」とある。神様の采配で親方と出会った浩太少年。よき話でした。2020/05/14
ゆのん
74
【NetGalley】【児童書】年老いた鍛冶屋の元に12歳の少年が訪れる。鍛冶屋になりたい、仕事を見たいと言う。長年1人で毎日鋼を相手にしてきた鍛冶屋と芯の強い少年。少年を思う鍛冶屋は共に山に登り少年にとって一生心に刻む事になる大切な言葉を伝える。少年が大人になろうと、時代が変わろうと大切な事は変わらない。素敵な物語。442020/02/15
みゆ
62
これぞ短編の醍醐味!堪能しましたヽ(^o^)丿 鍛冶屋の親方と鍛冶屋になりたいと通い詰める少年。二人の会話、数十年後の回顧。たった56P、挿絵付きで絵本のような本ですが、短いからこその余韻が心に沁みます。いい本に出会えました(o^^o)2025/03/05