内容説明
社会の周縁に属する無頼の人々が闊達に戯れる『義経記』を包括的に考究。その言説構造を、作品を統合する“義経の物語”と、義経の権威性に吊り下げられつつもそこから逸脱せんとする“義経の助力者の物語”の協調と相克として読み解く。さらに、『義経記』を義経に関する表象史の上に位置付け、義経主徒にことよせてアイデンティティを創出し過去像を構築してゆく語り手たちの想像力が近現代まで系譜的に連なることを論じる。
目次
『義経記』への二つの視座―研究史と課題
1 語り手の論理と文脈(金商人吉次と陵兵衛の論理;伊勢三郎の助力と伝承の文脈;土佐坊正尊と江田源三の物語;白拍子静の物語と語り手)
2 権威と逸脱の力学(『義経記』の源氏将軍家神話―「源氏」の権威の不可侵性;『義経記』の義経主従―主従の相克と協調;護良親王主従と義経主従の類似―潜行する貴種と助力者の系譜)
3 義経的想像力の系譜(源義経の表象史と「判官贔屓」;貴公子の悲劇とその語り手の系譜)
著者等紹介
藪本勝治[ヤブモトカツハル]
1983年、山口県宇部市生まれ。神戸大学大学院人文学研究科修了。博士(文学)。灘中学校・高等学校教諭。専攻は日本中世文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
-
- 電子書籍
- 宝くじに当たってセレブな街で契約結婚し…