内容説明
紫式部の生きた時代・十一世紀末は、貴族社会の大きな転換期であった。その過渡期の時代に身を置いた紫式部は、「いかに生きるべきか」と思い悩みながらも、社会的地位への世俗的欲望を持ち、花鳥風月の官能のよろこびに執着した。その紫式部の姿や思考の特質を追及する。「気むずかしい紫式部」「明るい清少納言」という通説を一新。二千円札の紫式部の肖像は、紫式部の侍女。
目次
序章 過渡期を生きる人々
第1章 紫式部の家系と家族
第2章 紫式部の女房生活
第3章 平安中期の女官・女房の制度
第4章 紫式部の同僚女房たちとの生活
第5章 現世出離の希いと世俗執着
第6章 晩年の紫式部
第7章 紫式部の出家志向と浄土信仰
著者等紹介
増田繁夫[マスダシゲオ]
昭和10年(1935)兵庫県小野市生。京都大学文学部卒業。梅花女子大学、大阪市立大学、武庫川女子大学等に勤務。大阪市立大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Ayako Moroi
1
著者である増田先生からいただいた。拙稿も(批判的に)引用されている。『紫式部日記』や『紫式部集』、当時の公卿日記もふまえた紫式部の伝記であるが、一条朝の女房の制度や実態、人物考証も手厚くなされている。博士論文やその前提となる学会誌への投稿論文にも、参考となる部分が多い。紫式部は、日記に女房生活に対する違和感を記していたものの、楽府の進講をするなど学問面で彰子を支え、公卿との取り次ぎにおいても信頼される有能な女房であった。日記には出家への気持ちも見えるが、同時代の貴族と同様、現世への執着もあったようだ。2014/12/17
elly
0
学者さんの本!2014/07/13