内容説明
本書は近世真言教学の碩学、説教・教化の名手としても知られた蓮体和尚が、精根を傾けて成った一大観音霊験説話集『観音冥応集』宝永二、三年(一七〇五、六)版本の厳密な翻刻である。『日本霊異記』『撰集抄』等の説話集はもちろん、『類聚国史』『元亨釈書』『太平記』や各種『高僧伝』『捜神記』『観音応験伝』など、古今和漢の内外典を渉猟、自身の体験談や見聞譚を交えて縦横無尽に活写する。古代・中世観音説話の集大成とその近世的再生は、説話文学研究に新たな視界を切り開くと同時に、全国各地に巡錫して見聞した縁起や説話のきめ細かい記録は、芸能史や地方史の研究にも大きく寄与するに違いない。巻末には「解説」と「説話目録」とを附載して利用者の便を図った。
目次
観音冥応集叙
観自在菩薩冥応集第一
観自在菩薩冥応集第二
観自在菩薩冥応集巻第三
観自在菩薩冥応集巻第四
観自在菩薩冥応集第五
観自在菩薩冥応集巻第六