内容説明
本書は一字一句をゆるがせにしない緻密な読みを志してきた成果である。内容を事柄として論じるのではなく、表現のあり方に分け入り、一人称的無敬語表現と三人称的表現とを区分して、その差異を多くの文例によって明らかにし、前者に人物の内面像のかたどりを見、人物造型の重要な徴表とすべきことを論じている。具体的に文例を分析し解明しており、本書によって源氏物語の表現読み、すなわち文学作品としての源氏物語の読みが深まるであろう。
目次
第1編 表現論
第2編 人物造型論
第3編 源氏物語の世界―主題と方法
第4編 源氏物語をどう読むか
第5編 枕草子論及び中世王朝物語『兵部卿物語』論