内容説明
小説はこう訳すのか!名翻訳家による濃厚で実践的なゼミ開講。
目次
第1章 客観小説の完璧な手法が光る!高度なテクニックで緻密に書かれた甘いロマンス小説―It is Called Love「愛というもの」/byバーバラ・カートランド(イギリス人の肺活量と英語のリズムの関係;客観小説はミステリを中心に広がった ほか)
第2章 エンディングをどう読むか?文学的ファンタジー作品―The Recording「録音」/byジーン・ウルフ(現実の世界だけでなく、小説の中にも作者と読者がいる;語り手が「私」の一人称小説の読み方・訳し方 ほか)
第3章 ミステリにしてホラー複雑な構造の作品をいかに訳すか?―The Burning Court‐Chapter One『火刑法廷』第一章/byジョン・ディクスン・カー(著者の意図に合わせて訳す。たとえ理解されなくとも;重要な登場人物は二人とも「生まれ変わり」だった ほか)
第4章 作者の仕掛けた謎の答えは何か?ヒントや手がかりを丁寧に訳す―The Riddle「なぞ」/byウォルター・デラメア(物語の理解に必要 イギリスの王室の変遷と建築物;「シンボル・ハンティング」は翻訳に役立つアプローチ ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
paluko
10
「読んだだけ」でもむちゃくちゃ勉強になる。特にジーン・ウルフ『録音』は某翻訳講座で課題として訳したことがあるものだけに、当時の自分の訳文を出してきてみると単純に間違えているところ、ニュアンスが汲み取れていないところが大量に発覚して凹んだ。この本の特色としては、1章だけの『火刑法廷』を除いて短篇がまるごと収録されているため、作品全体の文脈をふまえて訳す訓練ができる、ボイス(視点)の概念が丁寧に解説されている、さらに爵位(25頁)、詩の音歩(27頁)、建築様式(184頁)などの隔靴掻痒トピックに親切な解説が!2022/07/18
Inzaghico
9
本作はタイトルどおり翻訳の指南書だ。とはいえ、宮脇先生の博覧強記ぶりはここでも遺憾なく発揮されている。イギリス人の肺活量が少ないというのは意外だった。欧米人は日本人よりよほど肺活量多そうだから、みんなトランペットもサックスもガンガン吹けそう(偏見)。「チョーリーの侯爵」の説明の引き合いに肥後守を持ってくるのは笑ってしまった。これ、今の人わかるのかしら。紹介されていたジーン・ウルフの”The Recording”(「録音」)とウォルター・デラメアの”The Riddle”(「謎」)が面白かった。2022/04/25
timeturner
3
課題の4分の3は講義を受けたものだけど、どうせ忘れてるだろうと思いながら復習。でも、対面で教わったことは意外に覚えているもので、身についていることも多い。私の場合は本で読んでも役に立たないってことだろうか?2022/06/26
クラム
0
文芸翻訳ならではのルールが紹介されている。ミステリなんかは大変そう…。2022/07/15