誓い―チェチェンの戦火を生きたひとりの医師の物語

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  • サイズ B6判/ページ数 509p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784757210387
  • NDC分類 936
  • Cコード C0036

内容説明

本書は、チェチェンに生まれ育ち、戦火の中で自らの命を危険にさらして、すべての傷ついた人々を治療し続けた医師の自伝である。世界で最も過酷な戦乱の中にあるチェチェンで、人間の尊厳のために命を賭けた著者の勇気(その功績に、米人権擁護団体H.R.W.は、「ヒューマンライツ・ウォッチ賞」を授与)は、読む者の魂を揺さぶらずにはおかない。

目次

第1部 平和な時代(ダダとナナのこと;父祖たちの記憶;医師への道;帰郷、そして結婚;開戦前夜)
第2部 第一次チェチェン戦争(破壊された病院;天国と地獄;若いロシア兵たち;救うべきか、見捨てるべきか;アルハン・カラの危機;グロズヌイ脱出)
第3部 束の間の平和(瓦礫の中の復興;魂の衰退;メッカ巡礼;人心の荒廃)
第4部 第二次チェチェン戦争(戦争の再燃;悪化の一途;つきまとう死の影;地獄の中へ)
第5部 米国への亡命(チェチェン脱出;厳しい選択;悲しみのとき;モスクワ劇場占拠事件)

著者等紹介

バイエフ,ハッサン[バイエフ,ハッサン][Baiev,Khassan]
1963年チェチェン共和国生まれ。1977年ソ連邦ジュニア柔道大会で優勝し、以後多くの柔道大会にて金メダルを獲得。1985年クラスノヤルスク医科大学卒業。1988年チェチェンに帰国し、首都グロズヌイにて形成外科医として医務につく。1994年ロシア‐チェチェン戦争の勃発とともに、野戦外科医として活躍。敵味方を区別しない医療活動のために、ロシア連邦軍とチェチェン過激派の双方から命を狙われる。2000年米国へ亡命、同年11月米国NGO“ヒューマンライツ・ウオッチ”から「2000年人権監視者」の栄誉を受ける

天野隆司[アマノタカシ]
1938年東京生まれ。1972年慶応義塾大学法学部法律学科卒業、1979年東京都立大学人文学部仏文学専攻卒業
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

スー

21
168筆者は紛争中ヒポクラテスの誓いを守り敵も味方も治療したチェチェン人の医師です。独ソ戦から燻り続けたコーカサス地方出身者差別が火を噴いた紛争は民間人への暴力・略奪・殺人・誘拐そして住宅地への空爆砲撃が横行して悲惨な状況が詳しく書いてあり、最初は顔を骨折した人の治療や足の切断手術を丁寧に書いていたのに戦闘が激しくなるとただ治療した人数だけが書かれるようになっていき本当にリアルに感じ怖くなります。何度も命の危険にあいながらも医師の誓いを守り捕虜のロシア人軍医を逃がし処刑寸前までに。分け隔てなく治療した結果2019/11/24

sasha

7
チェチェン戦争の際に、敵味方の区別なく負傷者を治療したことがチェチェン過激派・ロシア軍の双方から命を脅かされる原因となり、アメリカへの亡命を余儀なくされたチェチェン人医師の手記である。双方から感謝されるのが本当ではないのか?こんなことがあっていいはずはない。医師として、人間として、著者の新年と勇気に最大の敬意を!2019/10/16

サボテンX

3
10年くらい前に読んだ再読本。この本で、もっとちゃんと生きなきゃと思った記憶があるのに細かいところは覚えてなかった。1995年、阪神淡路大震災のとき、チェチェンーロシアの第一次戦争がすでに始まっていたなんて。ロシア兵達の想像もつかない残酷さ、48時間ぶっつづけで飲まず食わずに治療をする著者、敵も味方も治療をする著者を多くの人が敵意を抱く。そのため拷問される甥、そしてついに殺されてしまうその兄。切断された手足が何本も入ったバケツや内臓がひき肉のようになった描写。医療従事者や病院を保護するジュネーブ条約なんて2020/07/08

yurari

2
震えと涙が止まらない…多くの人に読んで欲しい。第一次、第二次チェチェン戦争を生き延びアメリカに亡命したチェチェン人医師、ハッサンの物語。チェチェン人の誇りを常に持ち続け、信仰心を失わず、ヒポクラテスの誓いを守り抜き敵味方問わず時には牛や馬の治療も行う。アメリカに亡命してからはPTSDに悩み、医師として働き続けてきたにも関わらず米国では無給の医療従事者として働かざるを得ない状況だがスポーツなど生きがいを見出す。ロシアの恐ろしさと米国の寛容さ。同時代とは思えぬ隔たりがある。ウクライナ情勢が心配でならない。2022/02/25

Momo Tan

1
ウクライナで始まった戦争をきっかけにこの本を読んでみた。ウクライナのようには世界の支援も得られず、この世の地獄とも言われたチェチェン。本書の内容は壮絶だ。私はたまたまイタリア作成の現地取材ドキュメンタリーを見たことがあり非常に静かな映像だったにもかかわらずそこに描かれていたのは極限状態だった。ただひたすら恐怖と絶望だった。そして本書にはそれでも生き抜く人々の強さが書いてある。この世の残酷は他にも数多くあると思うが、その真実を伝えるものは少ない。本書は貴重であり、著者に読んだことを伝えられたらと思う。 2022/04/16

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