出版社内容情報
荒川修作がネオダダだった頃や、養老天命反転地の真の構想、実現しなかったプロジェクト、構想中のプロジェクトが明らかになる。
内容説明
世界的アーティストから、建築家・コーデノロジスト(芸術と科学の総合をめざす知性)への半世紀の「軌跡」をたどり、死を超克するための「天命反転」の「奇跡」実現の可能性を探りつつ、豊富な図版、本人との対話とともに、巨人アラカワの全貌を描き出す。
目次
第1部 荒川修作の軌跡―仕事と人生(最初の衝撃―ラスコー洞窟から“三鷹天命反転住宅”へ;かびと棺桶と―ネオダダから日本脱出へ;ニューヨークとデュシャン―モダンアートの反転;マドリンとの出会いと「意味のメカニズム」―思考実験としての芸術へ ほか)
第2部 荒川修作の奇跡―天命反転、その先へ(荒川修作;塚原史)
(よみがえる半世紀前の「奇跡」;東京からニューヨーク、ネオダダから「意味のメカニズム」へ;「天命反転」の試み―鑑賞の場から生活を変える場に;天命反転のその先へ ほか)
著者等紹介
塚原史[ツカハラフミ]
1949年東京生まれ。京都大学大学院文学研究科修士課程修了、パリ第3大学博士課程中退。現在、早稲田大学法学学術院教授。専攻は、現代思想(ボードリヤール研究)、表象文化論(ダダ・シュルレアリスムなどアヴァンギャルド芸術研究)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふみか
1
読んだ。達成感がすごい。これでやっと荒川のこと少しなら話に出してもいい気がする。もっと苛烈な発言ばかりの人かと最初は思ってて、でも作品を考えるうちにほんとはとても優しくて人のことを考える人なんじゃないか?という考察は遠くないと思った2016/02/05
ne
0
「天命反転」というコンセプトは、その実践を通して理解できる。しかし「天命反転」=「死なないこと」と言い換えられた時、途端に謎めいた大きな問いかけに代わる(「死ぬのは法律違反」「死は時代遅れ」「死は死んだ」)。物質的な死を克服する訳でもないが、しかし精神的な話をしているわけではない(死なないことは宗教ではない)。 2016/10/08
酒井ちゆき
0
初期の彫刻・絵画作品と「天命反転」の接続の手がかりになった。2015/11/08
k
0
本格的な評伝と呼ぶには軽すぎるが、荒川修作入門としては最適かな。2011/01/19
jackbdc
0
養老天命反転地の存在を知って荒川氏に興味を持った。通読して俄然気になる存在になった。人間の全体性に拘るところ、死への反発に何とも言えない真っ直ぐさを感じる。映画「死なない子供」はまだ観ていないが、タイトルそのままの人物像を想像している。現代アートは苦手という意識はあるが、氏の「曖昧な区域の提示」の作品の幾つかは何故かカッコいいと感じた。街づくりや巨大ビル、ホテル等の建設の夢は実現しなかったようで残念だが、三鷹、養老、奈義にしっかり作品を残してくれた。是非足を運びたい。作品展にも行きたいと思った。2021/01/14