出版社内容情報
本年度(第28回)サントリー学芸賞(政治・経済部門)受賞!
内容説明
すさむ食生活、荒廃する優良農地。明るい未来への処方箋を探る。
目次
序章 日本の食と農
第2章 食の議論の忘れもの
第3章 迷宮のJA
第4章 農地と政治1(農地問題の構造)
第5章 農地と政治2(農地政策の行く先)
第6章 企業の農業参入?
結章 明日の食と農を見据えて
著者等紹介
神門善久[ゴウドヨシヒサ]
1962年島根県松江市生まれ。1984年京都大学農学部卒。京都大学博士(農学)。明治学院大学経済学部教授。専攻は開発経済学・農業経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えも
12
現代の食と農が抱えている問題について鋭く分析している。ただ、「農水省とJAグループはすげえ悪い奴だ」的に書いてある所は、よく読むと根拠がないか、嫌いなはずのマスコミから無批判に引用してる。思い込みが先にあるって感じ。2014/09/15
アンゴ
3
★★★★★ 道理のない妄信である集団的誤解は生来から帰属していたら邪な動機に支配されていても気づきにくい。ちまたに流れる食と農の議論に疑義を抱き、オブラートに包まれた邪な動機を一枚一枚ていねいに剥いで露わにし、問題点の本質を鋭く指摘する。あらゆる根拠を幅広く周到に収集し、緻密で多面的考察を通じ、日本人社会に潜む集団的誤解から生まれる作為的妄想を浮き彫りにする。主題は「食と農」だが、背景にある集団になったときの日本人的行動様式も適確に指摘。日本の現代農業や共同体問題について未来に遺す貴重な記録2024/08/28
まねちゃい
3
日本農業の現状を、関係者の思惑やJAの構造上の問題、農地利用の実態などから分析した本。若干感情的な表現もあるが、基本的には資料に則った丁寧な議論がなされている。日本の食の問題は、消費者・農家双方のエゴとそれに便乗する行政によって成り立っているという現状分析は説得力を持つが、一方で著者が示す解決への提案はうまくいかなさそうなものばかり。農政の難しさの一端を垣間見た気がした。2013/12/18
ひろ
3
日本の農業の衰退の要因は農協や農政というよりも消費者の主体性の欠如と農地政策の混乱にある。究極の安全は消費者自らが食材を吟味し調理方法を考えることなのに、お手軽な外食や中食で済ませ、一度安全衛生面で問題が起きるとマスコミと共に他人事のように騒ぐ(そして根本を正すことなく翌月には次の問題について騒ぐ)。農業の採算とは無関係な転用期待に応じて、優良農地が極めて複雑な農地に関する規制のもと、売りたい側に都合のいいように農外転用される。食育の徹底と大規模農家の農地取得、基本的な二つの事柄の実施から始めよう。2013/08/17
Sho
3
読み応え有。JAの戦後以降の功罪や、政・官とのウェットな関係、農地問題の複雑で救い難い構造を思い知った。諸問題について、「お客さん」の立場に安住し、自らは議論も責任分担も拒否して、責任だけお上に押し付けようとする国民の甘えを根本的な批判対象としている点が本質的であり、耳が痛く、もどかしい。2011/09/25
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