内容説明
ファン・エイクの“ヘント祭壇画”に、メムリンクの“虚栄と救済の多翼画”に、ヒエロニムス・ボッスの“快楽の園”に、ホッサールトの“聖母を素描する聖ルカ”に、ホルツィウスの“ダナエ”に、ヤン・ブリューゲルの“火の寓意”に、フェルメールの“音楽の稽古”に、ネーデルラント美術の魅力を探る!
目次
第1章 “ヘント祭壇画”の不思議―ファン・エイクの新しい絵画世界
第2章 救いへといたる道、あるいは宮廷的なイメージの戯れ―“虚栄と救済の多翼画”に見るハンス・メムリンクの創意
第3章 神の視線が意味するもの―婚礼画としての“快楽の園”
第4章 ヤン・ホッサールトの“聖母を素描する聖ルカ”―画家の矜持と絵画的戦略
第5章 ヘンドリック・ホルツィウス“ダナエ”
第6章 ヤン・ブリューゲル(父)の“四大元素”シリーズ―“火の寓意”をめぐる一考察
第7章 ヨハネス・フェルメール“音楽の稽古”―ハブリエル・メツーとの芸術的対話をめぐる考察
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とよぽん
20
17世紀オランダの美術。宗教をテーマにしたものが多く取り上げられている。モノクロ写真でも人物の躍動感が伝わってきて、制作技術の高さを感じた。2019/09/12
kosaku
1
ハンス・メムリンク、ヤン・ホッサールト、ホルツィウスなどの画家についての評論は新鮮。やはり焦眉はボス論とフェルメール論で、その解釈を巡って定説が確立されていないボスの「快楽の園」について、婚礼画説と言う新しい視点を提示したことは画期的であり、また十分な説得力を感じた。フェルメール論では、ヤン・ステーンやハブリエル・メツーなど他の同時代の画家との相互影響について、これまできちんと論じたものはあったろうか。17世紀オランダ絵画の形成・発展過程全体に射程を置いた今後の研究の発展に期待2016/05/19