目次
もうひとつのアメリカ
忘れられた宮殿
ソビエトを求めて
色あせた革命
コンビニ
シレンシオ
著者等紹介
ジョリオン,トマ[ジョリオン,トマ] [Jorion,Thomas]
1976年フランス生まれの写真家。都市の中の廃墟や、使われなくなった大型建築を精力的に撮影する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やすらぎ
209
人が創りあげ、集い、消えた世界を廃墟という。今も輝き光射すというのに。破壊され更地にさえならず凄惨な放置。現代の心の闇であろう。風化し自然に還ろうとする部屋で間違いなく我々は笑っていた。美しき絵画さえ見つめる者なく掲げられている。人間の限界を感じる写真集。ここで何を奏で語り合ったのだろう。繊細な装飾は崩れ落ち、螺旋階段は哀しみに影を落とす。天に描かれた青空もくすむ。ステンドグラスは鮮やかなままであるが。争われた跡のような中庭、枠だけになってしまった観覧車。世界は沈みゆく中で日本の風景は特に息苦しさを増す。2023/01/22
ケイ
142
去年、書店で見かけて、購入した写真集。書店には、この本を魅力的にみせる一体何があったのだろう。開いたどのページも、無機質で、冷たく、心を砂漠に連れていく。正視すれば苦しくなる。ホコリが心の底に積もり、床に散った破片が心に刺さる。早く手放したいのに、避けては通れない現実のように、今も手元にそのままある。「Silencio」が原題。日本語の写真集のタイトルをつけた編集者には、一言申したい。2018/09/30
あじ
65
モザイクとノイズで埋め尽くされた、廃墟に滞留した時間。人間が放置した不可抗力に、なされるがままにその姿を晒している。朽ちてゆく美しさの対象として、廃墟は存在し続けているかのようだ。過去の格式の高さからも、低俗さからも解き放たれた静寂な墓場。心象がタイムリープを繰り返す。表紙の写真はまるでUFOの船体のよう。神々しさを放っている。なぜに私は廃墟に惹かれるのだろう。飽くなき探求心は止まない。2015/03/08
ハイカラ
54
横長な廃墟写真集。1枚か2枚を除いた全部が建築物の内部を写した写真だった。静寂に満ちた小さな部屋、がらんとした劇場、錆びた機械が鎮座する工場、ただただ大きい巨大建築など、見ているだけでしんとした空気が伝わってくる。それらは死んでいるというよりも眠っているように思えた。2016/04/10
カフカ
43
美しいというか不気味なのが多かった。海外のはバイオハザードっぽかったり、日本のはいかにも幽霊が出てきそうだったり。2021/12/28