内容説明
91歳の思い残し、語り残し。名旅館「柊家」を訪れた、三島由紀夫、川端康成、林芙美子、チャップリンらが、旅先の宿で見せた素顔と心に残る思い出に、著者の心意気を重ねて綴る珠玉の一冊。お・も・て・な・しのこころが演出する至福のひととき。
目次
第1章 京都の老舗旅館で学んだこと(くつろぎの御宿「柊家」;二十八歳、仲居「八重」の誕生;百倍やって人並み ほか)
第2章 忘れ得ぬお客さまの面影(徳川家達公―心を掴む気さくさ;永野修身閣下―涙を見せた海軍大将;平沼騏一郎首相―三年目の笑顔 ほか)
第3章 語り残し、思い残して…いま(三島先生の残されたもの;フロントの若者たち;一人前の板前になりたい ほか)
著者等紹介
田口八重[タグチヤエ]
明治42年(1909)、岐阜県中津川に生まれる。昭和12年(1937)、28歳で柊家の仲居になる。以後、60年にわたる仲居生活で、取締役、仲居頭、女将代理を歴任。昭和36年、運輸大臣賞、昭和44年、接客業に携わる者で、初の黄綬褒章を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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keroppi
72
テレビで、京都老舗旅館「柊屋」のことを取り上げているのを見て、この本を図書館に予約していた。仲居60年、昭和平成を仲居として生き抜いた女性の控めながらたくましい姿が描かれている。その姿は、誠実で美しい。三島由紀夫や川端康成等様々な作家や文化人との触れ合いも、さすが老舗旅館と思う。今は、なかなか旅に出られないが、また京都に行くことがあったら、外からだけでも、この旅館を見てみたい。2020/07/10
座敷童
10
得心することばかりで一気に読んでしまった。 時代に関係なく、人として大切な事ばかりだと思う。2022/01/03
さいちゃん
6
京都老舗旅館『柊家』に奉公にあがり仲居仕事第一線から引退するまでの田口八重さんの60年間の回顧録。仕事を自分のものとするための努力や誠実な姿勢、お客様としていらした各界の有名人、三島由紀夫、川端康成、チャップリン、アランドロン、宇野千代などとのエピソードから田口八重さんのお人柄が生き生きと素敵に伝わって来る。心配りの見事さ、美しさが光る。2020/07/07
まにゃらい
4
人におすすめされて読んだ本。正直自分で選ぶような本ではなかったので気が進まなかったのですが読んで良かった。名前ぐらいしか知らなかった著名人に興味が持てたし八重さんの可愛いらしい(といったら失礼かな)人柄が本から滲み出ていた。八重さんおもてなし精神や仕事への熱意がとにかく素晴らしくて、接客業じゃなくてもどんな仕事にも共通するんじゃないかな。便利すぎると、人との付き合いが希薄になり思い出も少なくなるというのはなるほどなぁと思う。2021/07/30
ジュースの素
3
28才で柊家に勤務し始め90才まで仲居をした田口さんの話。他人によって書かれるのでなく自分で筆を取って書いた物語。老舗旅館であり 各界の有名人が多く利用した事から その対応は並大抵ではなかったようだ。小学校もろくに出ていない彼女は お客様から必死でいろいろを学んだ。今ではどうか分からないが、昔の旅館は本当にプライバシーがどうなっていたのかなぁと少し気になる。2015/10/20
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