内容説明
自殺対策が精神医学・精神医療の重要課題として取り組まれる中、公衆衛生的・予防的観点の介入と比較して、実際の治療については明確な介入方法が提唱されていない現状がある。本書は認知行動療法をベースにした自殺対策のための精神医学書であり、自殺行動の科学的理解とともに実際の治療を学ぶことができる。
目次
第1部 認知理論と実証的研究(自殺念慮と自殺関連行動の分類とアセスメント;自殺関連行動の関連要素とリスク因子;自殺関連行動の認知モデル;自殺関連行動を防ぐためのエビデンスに基づいた治療)
第2部 臨床への応用(認知療法の基本原則;導入期;自殺関連行動の認知的概念化;治療前期;治療後期;自殺を考えている患者を治療していく上で求められる工夫)
第3部 特別な治療的配慮が必要な対象への適用(自殺を考えている思春期の患者に対する認知療法;自殺を考えている老年期の患者に対する認知療法;自殺を考えている物質依存を有する患者に対する認知療法;結論:自殺対策に向けた公衆衛生モデル)
付録:自殺を考えている患者に対する認知療法の概要
著者等紹介
大野裕[オオノユタカ]
精神科医。1950年生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。コーネル大学医学部、ペンシルベニア大学医学部留学などを経て、慶應義塾大学教授、国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター長を歴任。2015年4月より同認知行動療法センター顧問。日本認知療法・認知行動療法学会理事長。日本ストレス学会理事長。日本ポジティブサイコロジー医学会理事長。認知行動療法研修開発センター理事長。ストレスマネジメントネットワーク代表
中川敦夫[ナカガワアツオ]
慶應義塾大学病院臨床研究推進センター教育研修部門長・特任講師。1999年、慶應義塾大学医学部卒業後、同大学精神神経学教室に入室。その後、社会福祉法人桜ケ丘社会事業協会桜ケ丘記念病院の勤務、コロンビア大学医学部精神科への留学を経て、2011年4月より国立精神・神経医療研究センタートランスレーショナルメディカルセンター臨床研究教育研修室長および同センター認知行動療法センター認知行動療法研究室長を務めた後、2013年4月より慶應義塾大学医学部クリニカルリサーチセンター特任講師を経て、現在に至る。日本認知療法・認知行動療法学会幹事。厚生労働省認知行動療法研修事業認定スーパーバイザー
耕野敏樹[コウノトシキ]
岡山県精神科医療センター救急急性期病棟医長。2005年、岡山大学医学部卒業後、福山市民病院での卒後臨床研修を経て、2007年から岡山県精神科医療センターに勤務。2015年より厚生労働省認知行動療法研修事業の認定スーパーバイザー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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