内容説明
本書は、解離性障害に不慣れな治療者を対象にした本である。経験ある治療者と多くの患者との治療作業からえられた、概念、技法、治療哲学の集積で、MPD治療者の世界での経験と主流的な考え方とをまとめ、精神保健領域の臨床家に伝えようと意図した。入門書としても参考書としても役立つように、たくさんの引用文献を掲げ、索引も付けてある。
目次
第1章 解離
第2章 多重人格性障害の歴史と診断基準
第3章 病因、疫学、症候学
第4章 多重人格性障害の診断
第5章 交代人格
第6章 治療の開始
第7章 精神療法における諸問題
第8章 精神療法のテクニック
第9章 催眠と除反応の治療的役割
第10章 補助的治療
第11章 危機管理と治療的解決
著者等紹介
パトナム,フランク W.[Putnam,Frank W.]
パトナムは1975年にインディアナ大学医学部を卒業し、神経生理学の学位を取得した後、イェール大学精神科で研修を行った。研修期間中に、外傷後ストレス障害(PTSD)のベトナム帰還兵の治療を担当したことを契機に、彼はトラウマ研究の道に進む決意をしたという。その後、彼は国立精神保健研究所(NIMH)の研究員となった。彼の初期の業績としては、第一に、イヴ・バーンスタインとともに行った解離体験尺度(DES)の開発がある。これは28の質問にクライエント自身が解答を記入する方式のものである。DESをスクリーニングテストとして用いることによって、クライエントが多重人格である可能性を評価することができる。また、このテストによってそれまで誤診されていたたくさんの多重人格患者が「発見」された。第二に、臨床家を対象にしたアンケート調査により、100症例の多重人格患者の症状プロフィールを明らかにしたことである。これによって、多重人格の病状像がさらに明確になった。また、多重人格の病因を論じる上で重要なデータとなった。その後、パトナムの関心は、多重人格そのものから、その重要な病因の一つである児童虐待へと向かった。彼は、児童虐待防止が、暴力や薬物乱用などの社会問題を解決する鍵であるという信念のもとに、1999年より、シンシナティこども病院附属メイヤーソン・センター所長として児童虐待防止プログラムの開発に携わっている
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