出版社内容情報
ひねくれ者のイタチが、スープ作りの好きな野ネズミと出会う。大切なものができること。それを失うこと。森の中での命とは。
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
モリー
48
かじかんだ体と心を温めてくれる野菜スープのようなお話でした。味を思い出すたびに、よだれがでで、また食べたくなるかもしれないし、泣きたくなったり、笑いたくなったりするかもしれません。特別な野菜スープです。いくつもの素材からしみ出した味が混ざり合うスープのように、いくつもの悲しみや喜びからしみ出した言葉が溶け込んだ特別なスープの味は、複雑で味わい深いものでした。ごちそうさまでした。2025/10/13
ケ・セラ・セラ
19
冬の朝、イタチが目覚めると一緒に暮らしている野ネズミの姿がなかった。巣穴の外には散らばったナズナの花とキツネの足跡。本来ならば食う食われるの関係であるはずのニ匹の出会いから、イタチが野ネズミといた四季(茶色の文)と、野ネズミのいない四季(青色の文)が交互に綴られる。失うことの怖さと、少しずつ忘れていってしまう恐怖。美味しい野菜のスープ。忘れることはない、一人じゃない。文章と挿絵が絶妙で切なく胸の奥がじんと温かくなるお話。2025/11/03
鳩羽
7
ある日、イタチは一緒に暮らしていた野ネズミがいなくなっているのに気づく。そもそもその野ネズミは、イタチが食べようと狙ったことがきっかけで、なぜか一緒に暮らすようになった野ネズミだった。イタチは、野ネズミと暮らした季節を思い出しながら、野ネズミのいない季節を探していく。…自分みたいな児童書読む大人にはいいが、これは子供に迂闊に勧められない児童書だなと思う。生態系と捉えるなら普通のことでも、感情がある生き物が食べられることは惨い。自己犠牲や心理的な防衛規制?を、種を超えた友情を育むパートと同時に読むのは辛い。2025/09/01
たこい☆きよし
0
『ガンバの冒険』なら宿敵のネズミとイタチ。こちらの作品でももともとはそういう関係のはずなのだが…。リアルで細密だけど、表情がかあいらしいイラストの魅力に加え、紙の本ならではの仕掛けも相まって、ちょっと物悲しくも、前向きになれる奇妙な友情の物語。2025/10/16
風池
0
なんとも、びっくり。しもかわらさんの絵に惹かれて新刊チェックと軽い気持ちで読み始め。最初から、恋愛小説のような、野生動物の話のような。過去と現在いったりきたり。字の色がはてしない物語を思い出す。ラストもねー。想像できたけど、せつないような、幸せの形。2025/09/17




