出版社内容情報
ひねくれ者のイタチが、スープ作りの好きな野ネズミと出会う。大切なものができること。それを失うこと。森の中での命とは。
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
鳩羽
7
ある日、イタチは一緒に暮らしていた野ネズミがいなくなっているのに気づく。そもそもその野ネズミは、イタチが食べようと狙ったことがきっかけで、なぜか一緒に暮らすようになった野ネズミだった。イタチは、野ネズミと暮らした季節を思い出しながら、野ネズミのいない季節を探していく。…自分みたいな児童書読む大人にはいいが、これは子供に迂闊に勧められない児童書だなと思う。生態系と捉えるなら普通のことでも、感情がある生き物が食べられることは惨い。自己犠牲や心理的な防衛規制?を、種を超えた友情を育むパートと同時に読むのは辛い。2025/09/01
風池
0
なんとも、びっくり。しもかわらさんの絵に惹かれて新刊チェックと軽い気持ちで読み始め。最初から、恋愛小説のような、野生動物の話のような。過去と現在いったりきたり。字の色がはてしない物語を思い出す。ラストもねー。想像できたけど、せつないような、幸せの形。2025/09/17
小説大好き
0
丁寧な本だと思いました。イラストも、過去と現在で色を変えてある文章も、章タイトルも、全て拘って作ったんだろうな、と感じさせます。その意味で完成度が高く、読後の印象も悪くはないです。が、それゆえにビアトリクス・ポターの影響を受けたかのようなリアルな動物造形と「スープ専門店開業を夢見る」内容の噛み合わせが悪いことが浮き彫りになっていると思います。ラストに近づくにつれ、イタチの本来持って然るべき野生が、料理を通じたヒーリングという人工的な営みにより「去勢」されていくのです。ここに違和感を覚えなければ面白いです。2025/09/11